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期間 2013年09月13日~2013年09月24日14時59分59秒 [中間ランキング] 集計期間 ~2013/09/17 14 59 結果発表 2013/09/17 16 00(予定) 概要 暑いですね~… こんな日は水浴びでも…って あんまりいうとまた濡れちゃうからこれくらいにしておきます~!! えっ?プール掃除? うぅ、無事に終わるといいですけど… ストーリー 夏も終わり 新学期開始!! お世話になったプールを掃除しよう! ランキング上位でシナリオ付き新Uレア生徒をGET!? エリア 聖ロザリオ 1~5 プール掃除って、各校の水泳部とかがやるものだと思ってました 6~10 わ、私は、自主的な手伝いですよ?楽しそうでしたし! ロザリオにもプールってあってんですね…。なんか意外な感じです みんな一生懸命にやってる…、私も頑張らないと!! 今日は晴れてますねー。きちんと私が雨対策したからかな? ほら、私って良く濡れちゃいますから…、きちんと対策してるんです 先生、はい、デッキブラシです!!気合入れて綺麗にしていきましょう!! 11~15 わ、私はちゃんと真面目に宿題やりましたよ!?ホントですってば!! ∞ あ…、雨でプリントが引っ付いてたのは…、ノーカンでお願いします…。 制服のクリーニング代がとんでもなくて、お母さんに叱られちゃって… これ以上怒られたくないですから、今日は濡れずに頑張ります!! わっ!?こんな所にバケツが…、危ない危ない… 実は雨対策はしたんですけど…、体操服の着替えは用意してなくて… 先生、ヘラとか持ってないですか?ここの汚れがしつこくて… よし!だいぶ綺麗になりましたね~!! 百合姫商業 1~5 ウチの学校のプールも割と大きいですよねー。気合入れないとっ! 6~10 あや…、江國さんはいつも私を水泳部に勧誘するんですよ…。 うわー、排水溝にコケがびっしり… 先生、コケが落ちないんですけど…、どうしたらいいですか…? あ、玉置さんが掃除してる…。課題忘れたの…? 水泳部には、あやがいるからプールは時々覗きに来てるんです!! あ、ちょっと!!こっちに水を向けるのは止めて~!? 11~15 いっつも濡れるから水泳部に入ればー?って言われるんですよね… ∞ あやの応援に行ってたら、水泳部には詳しくなりましたよ♪ 洗剤を直接つけると汚れが落ちるんですか?ホントに…? コケのないところも、こすっておくと予防になるんですか?へぇ~! っていうか、普段プール使ってる人こそ、掃除するべきじゃありません? 玉置さんまで人を濡れ女みたいに言うしー!!私濡れ女じゃないもん!! 今日水着がないんだってば~っ。コレ濡れたら帰れなくなっちゃう!! 私だって、好きで濡れてるわけじゃないんだけどなぁ… 向日葵女子 1~5 こっち側は私一人でやってみます! 6~10 きついですけど…、貴重な経験だから、楽しくやってます!! 先生達って、毎年こんな事してるんですね~。 えーと、まずはデッキブラシで汚れを落として… 向日葵女子のプールも大っきいなぁ…。大変そう… きゃっ!?…うぅ~、あやうく転んじゃう所でした… あの金髪の人…、すごく楽しそうに掃除してますね… 11~15 …それに、先生と一緒だし…、いや、何でもないです!! ∞ お疲れ様です、先生!!残りも楽しんでいきましょう!! 水流しますねー!!皆さん気を付けてくださーいっ!! 先生、どうでした?私の掃除もだいぶサマになってきたでしょ!? …先生、転んで濡れた方が私らしい、とか思ってませんか? この体操服濡れちゃったら着替えがないんですってば!もー!! ペナルティでよるよりも…、楽しんで掃除した方が勝ちですよねー!! お、終わったら次行きましょう!?ね!? 都立桜木東 1~5 デッキブラシよし、洗剤よし、ホースよし!! 6~10 あ、洗剤切れちゃった…。せんせーい、洗剤くださーい!! 桜木東は、室内プールなんですよね…。公立とは思えない立派さです この短期間でプール掃除に関してはだいぶ詳しくなりました!! さ、ここで最後ですね!張り切っていきましょう!! みんな最後だから、時々ふざけながら掃除してますね… 先生ー、自主的に参加した生徒にご褒美とかってあったりします? 11~15 さぁ、全部流していきますよー!!それーっ♪ 16~20 さ、もうちょっと…!!頑張りましょう、先生!! あ、ホースで水かけあってる!ちょっとアレは…、楽しそう… ちょっと先生!!なんでこっちにホース向けてるんですかぁ!? え…?この室内プールで水を張り直した後に、遊んで良いんですか? 最後に水を張ってお終いなんですね…。あ、みんな飛び込んでる!! でも良いなぁ、室内プール。特に泳ぎはしないですけど、憧れますね え?なんですかこのジュース…?え、今日のご褒美…? ∞ みんな泳いでる…楽しそ…って、先生!?なんで私を押すんですか!? 先生、今日はお疲れ様でした!! 濡れた私は…、先生にしか見せたくないんです…// えへへ…、ジュース奢ってくれて、ありがとうございます… MISSION!! [ドジっ子]槇原麗美 ささっと終わらせるわ!! ドジっ娘プール転倒!?~槇原麗美の場合~先生!今日はプール掃除をする日なのだ。馬好きの槇原麗美ちゃんも張り切っているようなのだ。ささっと麗美ちゃんのところに行って来るのだ!そして、ちゃんとやっているかチェックなのだ! ミッション開始 馬や、馬の厩舎の掃除なんかに比べたら、プール掃除くらい楽勝よ!! NO MAX きゃっ!!こんなとこにバケツがあるなんて…、うぅ~濡れちゃった… テンションゲージMAX うん、上出来っ!!この調子で全部綺麗にしていきましょう!! [マジメ屋さん]玉置芽衣子 小川さんも手伝ってくれるの? 何事もマジメに!~玉置芽衣子の場合~先生!プール開きなのにプールが汚れているのだ。玉置芽衣子ちゃんが張り切ってプール掃除をしているのだ。ささっと芽衣子ちゃんのところに行って来るのだ!そして芽衣子ちゃんが頑張りすぎないか見ててあげるのだ! ミッション開始 吹奏楽部の未来のエースは自主練が忙しくってね!!…ちょっと、補習サボってたら、こうなっちゃった… NO MAX え~?小川さん濡れ女なんだから、このくらいの水は平気そうなんだけどなぁ… テンションゲージMAX よーしっ!綺麗になったでしょ!!小川さんも手伝ってくれてありがとうねっ!! [プール掃除]遠藤シェリー Let s enjoy!! 初めてのプール掃除~遠藤シェリーの場合~先生!今日はプール掃除なのだ。遠藤シェリーちゃんがずい分と張り切っているようなのだ。ささっとシェリーちゃんのところに行って来るのだ!そして、シェリーちゃんを手伝ってあげるのだ! ミッション開始 センセイ!デッキブラシで楽しくオドるバンドクループをご存知ですか?私…そんな風に楽しくオソウジします!! NO MAX oh!!思わず楽しすぎてスリップしてしまいました…、大丈夫デスか? テンションゲージMAX Yes!何事も楽しんでやるのが一番だと思います!! RARE MISSION!! [飛び込み!]逢瀬麗 ご褒美目指して頑張るぞー!! 一番プールダイビング☆~逢瀬麗の場合~先生!もうすぐプール開きなのだ。そして、今日はプール掃除なのだか……逢瀬麗がサボっているようなのだ。ささっと麗ちゃんを注意してくるのだ!それと、自由時間には水泳をさせてあげるのだ! ミッション開始 この学校は室内プールだから、頻繁に掃除があるんだよね!掃除後にはご褒美もあるんだ~!! NO MAX むむっ、ちょっといそがないとご褒美ナシになりそう…、頑張らなきゃ!! テンションゲージMAX えへへっ♪張り直したプールに一番のり~っ!!ひゃっほーっ!! 報酬生徒 生徒名 レア度 学年 必要コスト 知識 運動 感性 特技 効果 備考 [サボり魔]園崎奈津子 Uレア 2年生 16 5050 5590 6160 プールサイドのサボり魔! 全生徒の感性 ガッツリUP [飛び込み!]逢瀬麗 Uレア 1年生 16 5035 6315 5450 一番プールダイビング☆ 1年と2年の知運感 ガッツリUP [プール掃除]遠藤シェリー SSレア 3年生 13 3500 3550 3350 初めてのプール掃除 3年生の知識と運動 ワリとUP [マジメ屋さん]玉置芽衣子 SSレア 1年生 13 4640 3630 2130 何事もマジメに 1年の知識 ガッツリUP [ドジっ子]槇原麗美 Sレア 2年生 10 1800 1450 1800 ドジっ娘プール転倒!? 2年の運動 ワリとUP 特効生徒 生徒名 レア度 学年 必要コスト 知識 運動 感性 効果 イベント効果 備考 [びしょ濡れ]小川遥 プリンセスレア 1年生 24 11840 11320 11040 全生徒の知運感 ガッツリUP ミッションで30.0倍の効果 [水浴び?]春野ぽぷら Uレア 3年生 19 6340 6960 6650 3年の運動と感性 ガッツリUP ミッションで20.0倍の効果 [1周年記念☆]リン子 プリンセスレア 全学年 23 11025 10875 10875 全生徒の知運感 ガッツリUP ミッションで20.0倍の効果 [理事長!?]リン子 Uレア 全学年 18 6400 6250 6250 全生徒の知運感 ワリとUP ミッションで15.0倍の効果 [2ショットデート]児玉紗理奈 プリンセスレア 3年生 24 11600 11300 11300 全生徒の知運感 ガッツリUP ミッションで10.0倍の効果 [夏の新作]岡野奈々 プリンセスレア 2年生 24 11060 11970 11170 全生徒の知識と運動 ハンパなくUP ミッションで10.0倍の効果 [インドア派]戸叶志帆 SSレア 2年生 15 4360 3870 3770 2年の知識 ハンパなくUP ミッションで10.0倍の効果 [呼び出し!]リン子 SSレア 全学年 14 3800 3700 3700 全生徒の知運感 チョビっとUP ミッションで10.0倍の効果 [わがまま花火]和賀マリ プリンセスレア 2年生 24 11500 11200 11500 2年の感性と知識 ハンパなくUP ミッションで5.0倍の効果 [川涼み]長崎永子 Sレア 2年生 13 2055 2390 2120 2年の運動 ワリとUP ミッションで5.0倍の効果 [トラップ配置]花畑みさお Uレア 1年生 19 7085 7085 5780 1年生の知識と運動 ガッツリUP ミッションで5.0倍の効果 [揺れる恋心]江國あやめ LUレア 1年生 38 6435 6360 7155 自分の知運感 マジガチUP ミッションで5.0倍の効果 [スイーツタイム]崎本舞 LUレア 1年生 38 7020 6650 6280 自分の知運感 マジガチUP ミッションで5.0倍の効果 [図書整理]小早川知紗 Uレア 3年生 19 6650 6650 6650 3年の知運感 ハンパなくUP ミッションで5.0倍の効果 [あめ大好き]リン子 Sレア 全学年 12 2060 2000 2000 自分の知運感 チョビっとUP ミッションで5.0倍の効果 [1stアニバーサリー!]田中美緒 LUレア 1年生 32 5800 5500 5500 自分の知運感 ガッツリUP ミッションで3.0倍の効果 [メガネ装備]リン子 レア 全学年 8 1050 975 975 自分の知識 ワリとUP ミッションで3.0倍の効果 [幻獣姫]いろは LUレア 1年生 16 5600 5600 5600 自分の知運感 ガッツリUP ミッションで3.0倍の効果 [いつもの朝]リン子 ノーマル 全学年 7 635 630 630 自分の知識 チョビっとUP ミッションで2.0倍の効果 ルール 夏も終わり新学期スタート! 新学期開始!! まずは生徒と一緒にプール掃除だ! プールさん今年もありがとう!! 1.ランキング上位でUレア[サボり魔]園崎奈津子をGET! ミッションで獲得したテンションptでランキングされます。 2.部活メンバーや姫友と協力して報酬GET!! テンションゲージをMAXにすると特訓女教師や、ガチャチケなどを獲得できます。 3.ミッション成功回数を伸ばそう!! ミッション成功回数を増やすことでイベント限定シナリオ付き生徒を獲得できます。その他にもガチャチケや教諭をGETできます。 イベントの流れ 1.選択可能なエリアを選び、生徒に出会います。 2.各エリアでは生徒とのミッションが発生することがあります。ミッションの度に「テンションpt」が、ミッション成功でミッション成功回数がカウントされます。} 3.獲得した「テンションpt」でランキングを競います。 4.各Lvの生徒とのミッションを成功させるごとに次のエリアが開放されます。【新しいエリアを開放するには?】白合姫商業:槇原麗美 Lv25のテンションゲージMAX達成向日葵女子:玉置芽衣子 Lv50のテンションゲージMAX達成???:遠藤シェリー Lv75のテンションゲージMAX達成※9/17 15 00~新たなエリアが追加されます。 5.自身で出会った生徒のミッション成功回数と、救援でのミッション成功回数は合算してカウントされ、一定回数ミッション成功させることで報酬を獲得できます。※ミッション成功の度に獲得できる報酬は、生徒に出会ったユ-ザ-のみが対象になります。救援者は報酬を獲得できません。 テンションゲージの上げ方 1.テンションゲージはイベント専用学級で上げることができます。 2.イベント専用学級は「イベントTOP」から編成することができます。 3.生徒のテンションゲージを上げるには、パッションptを消費します。 4.ミッションではテンションゲージが存在します。 5.パッションptを消費し、テンションゲージをMAXにすることを目指します。 6.ミッションを1回で終えることができなかった場合、イベントTOPページの履歴から再度、ミッションを行うことができます。 7.ミッションを行うには制限時間があり、制限時間内に成功できなかった場合、再度ミッションに挑まなければなりません。 8.生徒との遭遇履歴は最新3件までです。 9.テンションゲージを上げた際に得られるテンションptでランキングが行われます。ランキングには、個人ランキングと中間ランキングがあります。 10.DOWN特技は効果対象外となります。 ランキングについて 1.個人のテンションptが同数だった場合、先にテンションptを取得した方が上位にランキングされます。 2.各種ランキング報酬は、イベント終了後のランキング結果発表タイミングで付与されます。 3.ランキング報酬は9/29 14 59 59までに取得してください。期限を過ぎると報酬は受け取ることができなくなりますのでご注意下さい。 4.中間ランキングはユーザーが獲得したテンションptによって順位を付けます。 5.中間ランキングはイベント開始から09/17 15 00までの順位から集計されます。 6.ミッション成功回数ランキングは、エンカウント/救援した生徒のミッションが成功した回数をカウントし、成功回数の総数でランキングされます。テンションゲージがMAXとなり、ミッション成功した地点でカウントされます。※全生徒のミッションが成功回数ランキングのカウント対象になります。 救援について 1.ミッション成功できなかった場合、最大で部活メンバー20名と姫友10名の合計30名まで呼ぶことができます。 2.呼ばれる仲間はランダムで選ばれます。 3.救援は同時に5件まで救援要請を受けることができます。 シナリオ付き生徒について [サボり魔]園崎奈津子(Uレア)[飛び込み!]逢瀬麗(Uレア)[プール掃除]遠藤シェリー(SSレア)[マジメ屋さん]玉置芽衣子(SSレア)[ドジっ子]槇原麗美(Sレア)イベント限定シナリオ付き生徒となります。当イベント終了後トレードが可能となります。今後のイベント報酬等で獲得する事が出来ます。 ステージ4は都立桜木東なので 説明でバレしてますが[飛び込み!]逢瀬麗ですね -- 名無しさん (2013-09-15 06 03 40)
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「ただいまー」 「あ、おかえりなさい」 家に帰ってきて、部屋に入るとシオンが出迎えてきてくれた。 ああ、いいな。ただいまが言えるって。 別に家を空ける父さんが嫌いなわけではないけど、もう少し家にいてくれたら嬉しいのになと思う。仕事なのだから、しょうがない。 第一、僕がちゃんと暮らしているから安心して仕事ができるのだ。僕がわがままを言ったらいけない。 「特に何もなかったかい?」 「はい、異常はないですよ」 異常なんておおげさな。と思うけど、神姫にとって留守を任されるのは大変な任務らしい。淳平に聞くと、家を空けるなら一緒に行くことは多いらしいけど、バイト先とかに持っていけないらしいから。 今度は学校にも連れて行って、ミスズとかにも会わせてみようかな。神姫にも友達は必要だし。 でも、その前に大事な話しをしよう。これからの為にも。 「あー、シオン。ちょっとこっちに来て」 「? ……螢斗さん、どうしましたか」 不思議そうに僕の傍に来てくれる。 僕もその場に座って紙袋にあるものを取り出す。持つと意外とズッシリと重い。 部屋のテーブルにそれを置く。正面に『武装神姫』と書かれたロゴがはっきりと見える。 「これが何かわかるよね?」 「……もしかして……」 僕がちょっと大きいぐらいであるケースの留め具を外すと、中からはパステルピンクのアーマー一式とハンドガンと数本のバレル。 これが、アーティル型の公式装備らしい。各神姫には専用と呼べるような一式装備が発売されていて、それを元に、色々な、別の装備を取り付けていって、自分だけの武装神姫を創るみたいだ。 「これは……どうして……」 「ごめん、嘘ついた。今日、アルバイトじゃなくって、実は……シオンの前のオーナー宮本 凛奈さんと会ってきたんだ。それで、これを預かった」 テーブルの上で狼狽しているシオンにそう告げる。これは自分が使っていた装備だとわかったらしい。 バトルの恐怖と共にあった戦うための装備。いまそれが目の前にある。 「……でも、螢斗さんには、凛奈さんと会う意味なんか……」 「意味はあるよ。シオンを知る為に会ってきたんだ」 「わたしを……」 目線を同じにして、顔を下げているシオンの頭を撫でる。これが多分一番落ち着くと思う。僕にとっても、シオンにとっても。 「色々聞いたよ。シオンのお姉さん、イスカのこと。なんで家出することになったのかとか。そして、バトルのこととか」 シオンの肩が『バトル』の部分でピクッと動く。 「シオンは時々、物思いにふけってる時があるよね。ずっと外の方を向いて、遠い目をしててさ。多分、前にいた所を思い出してるんだろうなって」 「……自分でもわからないですけど、そうなのかもしれないです。螢斗さんってそういうの鋭いですよね」 「うん。一人で暮らすようになって、しっかりし続けようとしてて、他人を見てたらいつのまにかそういうのに敏感になってた。そうして出来ることを見つけるんだ。僕が出来ることをね」 「だけど、結局、私に何をしてほしいんですか? バトルですか? 武装神姫のクセに戦えない神姫だってわからせたいんですか?」 シオンの慟哭。目元を隠し、涙を流す。 「違うよ」 「でも、これじゃあ……」 「後悔させないためかな」 「えっ?」 泣きながらも、顔を上げるシオン。もう一回「ごめん」と謝りながら、ハンカチで目元を拭う。ほんと、よく泣くよな。 「宮本さんはいずれ、日本を離れるんだって。外国の方で仕事を習うために。気軽に日本には帰れなくなるから。だから、いなくなったシオンを気にして探し続けてたんだ」 「……それじゃ、お姉ちゃんも」 「一緒に行くことになるね。今すぐに、行ってしまうってわけじゃないけど。このままお姉さんに嫌われたままでいいのかな」 シオンにそう語りかける。 このままなにもせず、時間が忘れさせてくれるまでいることもできる。だけど、これはシオンが本当の意味で、“武装神姫”になるための必要なことだと思う。 自分勝手だと思えるけど、このままなんて悲しいじゃないか。僕にはシオンを拾った責任がある。 「神姫バトルをしてみないか」 「……」 シオンは僕に背を向けて、窓の方、夜の外を見ている。どんな感情が中で渦巻いているのかはわからない。 「イスカお姉さんに、シオンを認めさせるためにも。戦えないからって僕はシオンを蔑まない。僕も一緒に戦うさ」 「ここに置いておくよ」と言って部屋のドアに向かう。 傍にいても仕方がない。今は一人で整理させる時間が必要だ。 言いたいことを全部言ったのはいいけど、来た当時の、また塞ぎ込んだ状態に戻ってしまうかもしれない。 さっきも思った通り、なにも出来ず終わるかもしれない。このままバトルができないかもしれない。 (でもさ、重い後悔を残したまま、今を過ごすのは良くないよな。父さん) 今はどこかの飛行機に乗って、空を飛んでいる父親の顔を思い出しながら、僕はリビングに降りていった。 ―――― 螢斗さんは部屋から出て行った。 ドアの方に私は振り返る。 目の前には、私の使っていた武装。たいして使えていなかった私の装備。前マスター凛奈さんが揃えてくれた物だ。 中にある銃を手に取る。 『フェリス・ファング』 これに色々、バレルを組み替えて、武器を転送しなくとも装備をその場で変えられる利点がある。バレルはそのままリアのユニットに取り付けていれば、銃器として扱う事ができる。 私のデータ上にはそうなっていて、覚えているけれど、ちゃんと使えなきゃ意味がない。ちゃんと弾を当てたことも、組み替えられたこともない。 トレーニングの時はしっかりできるのに、本番でできなきゃいけないのに。 これを持つとあの頃の出来事が思い出された。 ……わたしはイスカ。お前のお姉ちゃん ……マスター。この子私の名前を呼んでくれたぞ。嬉しいな ……何をやってる。相手をしっかり見て撃つんだ ……ほらほら、初めてのバトルだったんだから、泣くな 私にも前マスター凛奈さんに対しても無口で無愛想だったけど、ものすごく優しくて、私にとっては大好きなお姉ちゃん。 だけど。 ……お前はなにもできない、玩具なんだな どんなバトルでも、恐怖感に捕らわれて何も出来ずに終わる。 ある日、筐体の空間から前マスター凛奈さんのもとに帰った時、赤い瞳で睨まれてそう告げられた記憶のメモリ。 武装神姫は戦うための玩具。そうお姉ちゃんにも教わって、トレーニングも欠かさなかった。 だけど、どうしても抜け出せない。勝てない。腕も足も震える。銃口が定まらない。当たらない。指示にも満足に動けない。そして負ける。 前マスター凛奈さんは怒りはしなかったけど、ただ「次、頑張ってみよう」との探り探りのような言葉。 凛奈さんも嫌いではない。もちろん、尊敬しているから。 お姉ちゃんともバトルなんかしないで、ただ一緒にいられれば良かった。無表情な顔で、でも声は優しくて名前を呼んでいてくれたら良かった。 ……ただの人形 そう呟かれて、苦しかった。 機械人形の私たちの口から、直接「人形」と呼ばれる苦しさは並大抵ではない。 私は何も言い返せず、お姉ちゃんはそのまま会話もしてくれなくて、前マスター凛奈さんもお姉ちゃんを、それと私をどう扱っていいか、戸惑っていた。 だから、逃げ出した。 窓から外に飛び出して。走って、走って、走って。野良猫に標的にされ追いかけられて、そして……。 「……螢斗さん」 フェリス・ファングのグリップを握りしめて、今のマスターの名前を呟く。 助けてくれたのに失礼にも警戒していた私に優しくしてくれて。 素性もわからない神姫の私に新しい居場所をくれた人。 一人ぼっちは寂しいと思うけどな キズのあるクレイドルの中にずっといたら、声が聞こえた。拾ってくれた人が出した声だとはわかってはいたけど。 私のCSCの中にその言葉が染み込んだ。 寂しかった。ぬくもりが欲しかった。 人形の私が大層な考えなのかもしれないけど、ただ飢えていたんだ。 そう思ったら、声の主に話しかけていた。 そして今、私はこうして、此処にいる。 マスターは私の抱えている物も背負い込もうとしている。 とても優しい人。 この人になら、私は全てを賭けられる。拾ってくれた恩も傍にいてくれる恩も私はまだ返せていない。だったら、私はもう一度………。 「よし」 濡れていた目元を腕で拭う。肘の関節を伸ばし、手首のジョイントを固定し、トリガーに指をかける。それを確認して、銃口を前方に向ける。 目を瞑り、バトルでの情景を鮮明に思い出す。 少し腕が震えてくる。 だけど、清算するためにも、私は克服しなきゃいけない。 前マスター凛奈さんの為に、お姉ちゃんの為に。そして、螢斗さんの、マスターの為に。 「っ!」 指に力を込め、トリガーを引く。瞬間、カチっと音がする。 もちろん、弾が入っていないのはわかってる。 これで、 私の脳内で仮想の相手に当てるイメージをする。 これを本番でする。やってみせる。 ―――― 「ねぇ、本当に大丈夫?」 「はい、なんとかやってみせます」 休日の日。昼ごろの時間帯、ゲームセンターの前には突っ立っている僕と、服の胸ポケットには、妙に意気込んだシオンがいる。 話しをしたあの日、塞ぎ込んでたらどうしようとか嫌われたらどうしようとか考えながら、オドオドと自室に戻ってみたら。 『今度、バトルをしに行きませんか』 と、開口一番言われた。 唖然として生返事で了承し言い返すと、「よかったです」ともらし持っていた銃を持ち撃つような練習をし続けていた。 よくはわからないけど、スッキリした顔立ちになっていたから、自分の中で整理がついたんだろう。 僕の独り善がりじゃなかったんだ、よかったよかった。とホッとしたのも束の間。 淳平に今度の休日、神姫と一緒にゲームセンターに来てくれるように連絡をして頼んだ。 いきなり、見知らぬ人とバトルをしかけても、僕が対処できないし、淳平の方が神姫バトルは先輩なんだから、良い先生になれるだろう。 特にミスズに期待しよう。そうしよう。 そして、今はその淳平たちを待ってはいるんだけど……。 「お友達の方に何かあったんでしょうか」 「いや、今日は休みの日だし、寝坊だよ、多分。今はお昼だけどね」 心配している様子のシオンに言い聞かせる。 淳平のことだから、朝起きれないと思って昼に待ち合わせにしたのに、こんなに待たされるとは。 朝はミスズと母親の、二人がかりで起こすらしいが、それでも起こすのに苦労するらしい。 母親は昼にはもういないとすると、ミスズだけで一体どんな状況になっているやら。 すると、ヴゥーヴゥーっとズボンから携帯のメール着信振動。 ――ミスズです。マスターは今から支度をし始めたので、中で待っててください。ご迷惑をおかけします―― ……案の定これだ。嫌になっちゃうよね。まったく。 ミスズが淳平の携帯を操作してメールをうっているんだろう。自分のマスターのフォローをする神姫。泣けてくる。 「シオン、中に入ろう」 「でも、まだ、お友達が」 「遅れるから、中で待っててってメールが来たからさ。心配する必要はないよ」 「そうですか。よかったです、お友達の方に何もなくて」 (シオンはいい子だなー……) と、心の中で、シオンをべた褒めしつつ、両開きのドアを潜る。 見回してみると、前に来た時よりも、人が幾分か多い気がする。休日ということもあり、学生くらいの年代の人が多い。 前回、来た時に見ていなかった案内板を見てみる。 広く使われている一階は神姫の専用バトルスペースになっていて、二階や三階には普通のゲームセンター通りのメダルゲームやアーケードゲームがあるみたい。 ここは、この街で神姫バトルが一番流行っているらしいから、神姫バトルを前面に押し出した結果なんだろう。 ……それで、どうしようか。 いきなり、暇そうな神姫オーナーに『バトルしようぜ!』とか僕には無理だぞ。 中で待つぐらいなら、他の人の神姫バトルとかを見てたらいいのだけど、今は誰もやってない。 お昼時でご飯だからなのかな。休憩所にも人がいるけど、バトルする雰囲気は出してない。 暇つぶしの為に、いっそのこと、二階のゲームでもするか。……いやいや、ここに来た目的は神姫バトルなんだからシオンの前でうつつをぬかせないよ。 ああ、どうしよう。僕は行き場を失っている。これがあるから、淳平を呼んだのに。くそう、恨むぞ、淳平。 そして、僕がちょっと挙動不審に陥りかけていると。ポケットから上を見上げて僕に向こうを促した。 「螢斗さん。あの方に話しかけてみては」 「うーん、うん? 誰のこと?」 指の指す方、奥の方に顔を向けると、僕と同じようなちょっと挙動不審になっている少女が神姫と話していた。 遠目から見て、同い年ぐらいに見える。黒く肩までの髪に赤いリボンをアクセントにしている可愛らしいと思える子だ。 そして僕と同じように挙動不審に見えると言う事は。 (仲間だーー!!) おもわず脳内で叫んだ。 よかった、僕たちは一人と一体じゃなかった。 「あの人にバトル申し込ませてもらおうか」 「……そうですね」 焦りが出てこないよう口にする。 そう例えば、高校入学式の日、自分のクラス。見知らぬ人たち。元の中学の友達がいない中、クラスでは緊張している自分。偶然その隣が自分と同じような緊張感を生みだしている気がして、話しかけて意気投合する、そんなきっかけを醸し出すんだ。 (…………よし、行くぞ!) 「こ、こんにちわ。バ、バトルできますか?」 うわ、すごくどもってしまった。 恥ずかしいけどしょうがない。即行でこのままいこうと開き直る。 けど。 「え! あ、は、はい。できます……よ」 顔を赤面させながら、相手の方もどもった。 (仲間だーー!!) 僕はなぜかむせび泣いた。希望はここにあった。 無人島の中、一人で生きてきて心細かったけど同じように難船して漂流してきた人を見つけたぐらいの感動だ。 さっきから僕のテンションがおかしい。けど気にしない! 「螢斗さん、よかったですね」 「ちょ、ちょっと、どうしたんですか!?」 「あー、リミちん泣かしたー。いーけないんだー、いけないんだー」 シオンの嬉しそうな声と、目の前の彼女の戸惑った声と、茶化すような神姫の声が同時に聞こえた。 前へ 次へ
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MMS NAKED 1st MMS NAKED 3rdFLESHカラーと武装神姫ヘッドの対応について on MMS シリーズ 天元突破グレンラガンヨーコ on MMS オトメディウス空羽 亜乃亜 on MMS エリュー・トロン on MMS クイズマジックアカデミーシリーズ(QMA)ルキア on MMS シャロン on MMS ユリ on MMS beatmaniaIIDXbeatmaniaIIDX セリカ on MMS beatmaniaIIDX イロハ on MMS S.O.Lシリーズ商品Special Operations Lady SWAT Special Operations Lady DELTA スカイガールズシリーズ桜野 音羽 on MMS 一条 瑛花 on MMS 園宮 可憐 on MMS エリーゼ on MMS アイーシャ on MMS フィギュメイトフィギュメイト版ストラーフ MMS NAKED 1st 武装神姫に使用されているMMSボディを単体で商品化したもの。MMS素体とも呼ばれる。 今までコナミの直営ネット通販サイト「コナミスタイル」限定商品となっていたが、このたびFLESH ver.1とver.2が一般販売することが決定した。 ラインナップは当初BLACK WHITE FLESH(後のFLESH ver.1)の三色。FLESHは後に微妙に色合いの違う ver.2、ver.3が発売される。各色ともに形成色以外の違いは無い。 付属パーツはマネキンのようなダミーヘッド、交換用手首、ボディと同色の拡張スペーサー、簡易スタンドのほか、通常よりもバストサイズの大きい胸パーツがある。これは現在のところMMS NAKEDにのみ付属する。また、武装神姫オンラインサービスには対応していない。 ダミーヘッドは後頭部が別パーツとなっており、接続に使用しているピンのサイズは同じくコナミが発売しているトレーディングフィギュアである「フィギュメイト」や、一部の武装神姫やMMSシリーズ商品のヘッドパーツと共通性がある。このため、ダミーヘッドを使用し自作ヘッドを作る際、これらのパーツを流用しやすくなっている。 主に武装神姫のEXウェポンセット用のボディとして用いられる他、フルセットのボディと組み合わせカラーリングを変更する使用方がよく見られる(特にFLESHカラーを利用し、肩やフトモモを素肌が露出しているように改造する方法が多い) バリエーションとしてFLESH ver.2 type-navyblue/white(通称紺スクール水着・白スクール水着素体)、FLESH ver.1 type-sports winered(通称赤ブルマー素体)、FLESH ver.2 type-sports navyblue(通称紺ブルマー素体)が存在する。これらのバリエーションでは、脛部分が第2弾・第7弾素体同様の短いものとなっているのが特徴。また、type-sports素体はNAKEDでは例外的に塗装が施されているためか他のNAKEDよりも若干高価である。 MMS NAKED 3rd ライトアーマー第3弾から採用された、第3世代のMMS素体。より人間に近いプロポーションになっており、各キャラクターにあわせた身長の素体(tall small)を選ぶことができる。1st同様、腕や足が取り外すことができ、専用のハンガーも付属、さらに2種類の胸パーツと1st素体に対応する胸パーツ、指つきの足パーツ(いわゆる裸足パーツ)も付属する。脛部分は1stのスク水素体やブルマー素体のものと同じくらい短くなっている。 しかしながら、プロポーションを追求した結果、1st対応の武装の一部が装着できないという欠点が暴露されてしまい、組み換えという神姫の醍醐味を半ば台無しにしてしまうという結果をもたらした。そのため、神姫ファンからは不満の声が出てしまい、MMS素体構造の 見直しをする必然性を強いられることとなってしまった。 カラーバリエーションは上記の基本色(BLACK WHITE FLESHVer.2)のほかに、パーティオの肌色にあわせたVer.4、ポモックの肌色にあわせたVer.5が発売されている。 FLESHカラーと武装神姫ヘッドの対応について FLESH ver.1はアーンヴァル、ハウリン、飛鳥に近い。 FLESH Ver.3はストラーフ、ヴァローナ、マオチャオに近い。 FLESH Ver.4はパーティオ、ウェスペリオに近い。 FLESH Ver.5はポモックに近い。 FLESH Ver.2はそれ以外の多くの武装神姫及びMMSシリーズ商品が対応している。 グラフィオスに対応するFLESHカラーは2010年7月現在発売予定なし。 on MMS シリーズ ここでは、「武装神姫」以外のMMSを使用したフィギュア。コナミ社が関わるアニメやゲームに登場するキャラクターを立体化したものを便宜上こう呼称する。 スカイガールズを除き、新規に設計されたMMS Ver.2ボディが使用されている。 MMS Ver.2は生身の女性を立体化するために特化されており、従来のMMSボディ(ver.1)にくらべボディラインなどがより自然なものになっている。他、股関節の可動範囲も改良され、脚を広げやすくなっている。 最大の特徴は胸パーツに軟質素材を利用し、上から被せる方式に変更した点。Ver.1ボディのような付け替えの容易さは失われたが、従来のアクションフィギュアによく見られるバストが腕の可動範囲を制限してしまう問題を解決している。 また太股の形状も変更され、スペーサーを外した場合、その分押し込むことができ隙間が生じないようになっている。この影響でver.2のスペーサーをver.1ボディに使用すると、多少隙間が空く。スネは形状が変更されており、Ver.1ボディとの互換性が無くなっている。 MMS NAKEDと同様、オンラインサービスには対応していない。 天元突破グレンラガン ヨーコ on MMS TVアニメ「天元突破グレンラガン」に登場する人気キャラクター、ヨーコをMMS Ver.2を使用し、アクションフィギュア化したもの。 最大の特徴はMMSボディの原型師である浅井真紀氏が原型を担当していること。個人のガレージキットとしてMMS対応ヘッドを発売していた浅井氏であるが、公式なものでMMSを使用した商品を手がけるのはこれが初となる。 通称:ヨーコ 髪色:赤/腰まで届くボリュームのあるポニーテール。ポニーテールの根本は黄色いかんざし、前髪にグレン団のシンボルマークであるディフォルメされたガイコツの飾りがついている。 瞳色:やや暗めの金色 体色:胸は、赤黒のツートンカラーのブラジャー。フトモモから下はニーソックスのためピンク色。左腕のみ二の腕から先が長手袋のため黒色。 雰囲気:気の強そうなお姉さんキャラ。 その他:頭の大きさはやや小さめ。 巨乳。 フィギュア概評: 衣装パーツとして、手首スペーサーの代わりに付けるブレスレット(黒地に金の鋲が打たれたもの)、白とピンクのツートンカラーにレッドのラインが入ったマフラー、黒のホットパンツ(白地に銀バックル、金の四角い鋲が打たれたベルト付き)、赤と白のツートンカラーのブーツが付属。 通常のフェイスの他、叫び顔が付属。前髪も、サングラスの有無で二種類付属する。ポニーテールはボールジョイントだがロール軸と同程度の可動範囲しかない。少し引き出すことによって可動範囲を増やすことができるが、今度は外れやすくなってしまう。 専用手首パーツとして、指抜きグローブをした状態の手首パーツが付属するが、腕との接続パーツはMMSボディ標準の可動手首と選択式となる。その他、スネパーツは長さの違う二種類が付属しており、交換可能。ブーツ用の足首に加え、MMSボディ共通足首も付属している。 武装はアニメで使用していたライフルが付属。マガジンと狙撃用二脚が取り外し可能。二脚は開いた状態と畳んだ状態の二種類が付属する。 アクセサリーとしてライフルのマガジン(ディスプレイ用)、ブータ(アニメでのマスコット的キャラクター)が付属。またオプションとしてネジ穴隠し用シールや関節のリベットやスタンド接続用のジョイント穴を塞ぐためのパーツが付属する。 ブーツは足首部分とスネ部分に分割されており、スネを通し、足首は通常の足首パーツと交換する形をとる。これによりMMSボディの持つ可動を殺すことなくブーツを履かせることに成功している。また、他のMMSへの流用も容易。余談ながらこの方式は後に浅井氏が発売するMMS対応簡易ガレージキットにも採用される。 ホットパンツは接着されておらず、取り外すことが可能。他のMMSに履かせることもできる。 ライフルは造形はよいものの、グリップがMMSの手首には太く、握らせにくい。 胸パーツの材質について: 初期出荷分の胸パーツの材質はTPRだった(劣化しやすい)が、再販分からは材質がSBSに変更になった。 オトメディウス 空羽 亜乃亜 on MMS シューティングゲーム「オトメディウス」の主人公キャラクター、空羽 亜乃亜(あおば あのあ)をMMS Ver.2を使用し、アクションフィギュア化したもの。キャラクターデザインは吉崎観音氏。 通称:あのあ 髪色:水色/ツインテール/黄色と白のヘッドギア風パーツが付く。 瞳色:髪よりやや淡い水色 体色:水色をベースにした服で、黒いラインが入り、スカート部分は半透明、胸はV字に大きく開けている。首元にブラウス風の襟と蝶結びの短い黒ネクタイ。胸、上腕部が白。足はニーソックス部分が水色、足首と足の甲の一部が白。アクセントとしてオレンジ。 雰囲気:吉崎氏のイラストに忠実な、明るい表情。やや活発な印象か。 その他:頭の大きさはボディに対してやや大きめ。眼はややタレ目気味。あと巨乳。 フィギュア概評: フェイスは笑顔と叫び顔の二種類が付属。 服装はアンナミラーズの制服などで有名なフレンチメイド風スタイルだが、胸に大胆な切れ込みが入っており露出度が高い。 スカートを他MMSボディへの流用する場合は胴のネジを外し本体を分離する必要がある。 最大の特徴は「グラディウス」シリーズの主人公機「ビックバイパー」を模したライディングバイパーと呼ばれるマシンが付属していること。非常に大型で商品のボリュームの半分以上を占める。一部外装が取り外しでき、内部メカのモールドが再現されている。 ライディングバイパーは発売前は共通ジョイントによる武装神姫シリーズとの組み合わせを期待されていたが、残念ながらそのような仕様ではなかった。 その他、ペンギンのマスコットキャラが付属(包帯を巻いており、一方はボート型のメカに騎乗) とにかくライディングバイパーのボリュームがすごいものの、その分その他のオプションパーツなどは少なく、そのライディングバイパーも上記の通り組み合わせ出来ない仕様であり、純粋なオトメディウスのファン以外には逆に購入を躊躇させる結果となってしまった。 エリュー・トロン on MMS シューティングゲーム「オトメディウス」の登場キャラクター、エリュー・トロンをMMS Ver.2を使用し、アクションフィギュア化したもの。キャラクターデザインは吉崎観音氏。 通称:エリュー、トロン 髪色:ピンク/先を白いリボンで結ったポニーテール/白いヘッドバンドと黄色と白のヘッドギア風パーツが付く。 瞳色:水色 体色:赤色をベースにした服で、黒いラインが入り、スカート部分は半透明、胸はV字に大きく開けているが空羽 亜乃亜と違いバストに切れ込みは無い。首元にブラウス風の襟と短い黒ネクタイ。胸、上腕部が白。足はニーソックス部分が赤、足首と足の甲の一部が白。アクセントとしてオレンジ。 雰囲気:吉崎氏のイラストに忠実な、明るい表情。ややおっとりな印象か。 その他:頭の大きさはボディに対してやや大きめ。眼はややタレ目気味。胸は同時発売の空羽 亜乃亜に比べて控えめ。 フィギュア概評: フェイスは笑顔と叫び顔の二種類が付属。 服装はアンナミラーズの制服などで有名なフレンチメイド風スタイルだが、胸に大胆な切れ込みが入っているが亜乃亜と違いバスト自体は布で覆っている。とはいえやはり露出度は高め。 スカートを他MMSボディへの流用する場合は胴のネジを外し本体を分離する必要がある。 最大の特徴は「沙羅曼蛇」シリーズの主人公機「ロードブリティッシュ」を模したライディングバイパーと呼ばれるマシンが付属していること。非常に大型で商品のボリュームの半分以上を占める。一部外装が取り外しでき、内部メカのモールドが再現されている。 ライディングバイパーは発売前は共通ジョイントによる武装神姫シリーズとの組み合わせを期待されていたが、残念ながらそのような仕様ではなかった。 その他、ペンギンのマスコットキャラが付属(腕にロケット風のメカをつけたものと、コの字型のメカに乗ったもの) とにかくライディングバイパーのボリュームがすごいものの、その分その他のオプションパーツなどは少なく、そのライディングバイパーも上記の通り組み合わせ出来ない仕様であり、純粋なオトメディウスのファン以外には逆に購入を躊躇させる結果となってしまった。 クイズマジックアカデミーシリーズ(QMA) ルキア on MMS オンラインクイズゲーム「クイズマジックアカデミーシリーズ(QMA)」に登場するプレイヤーキャラ、ルキアをMMS Ver.2を使用し、アクションフィギュア化したもの。 通称:ルキア 髪色:赤い外跳ね髪に金の髪飾り 瞳色:緑 体色:下着は水色のしまパン、足は革靴 雰囲気:巨乳 その他:巨乳 フィギュア概評: フェイスは笑顔と不正解時顔の二種類付属。 服装は第1アカデミー標準学科制服姿で、キャラ設定どおり服の上からでもわかる位の盛り上がりぶり。 付属品は箒、箒用固定アーム、マジックペット(赤いドラゴン) シャロン on MMS オンラインクイズゲーム「クイズマジックアカデミーシリーズ(QMA)」に登場するプレイヤーキャラ、シャロンをMMS Ver.2を使用し、アクションフィギュア化したもの。 通称:シャロン様、お嬢 髪色:金髪ロングに黒リボン 瞳色:青色 体色:下着はガーター付きの黒レース、足はハイヒール 雰囲気:ツンデレお嬢(貧乳) その他: フィギュア概評: フェイスは笑顔と高笑い顔の二種類付属。 服装は第1アカデミー標準学科制服姿で、キャラ設定どおり服の上からでもわかる位のナイチチぶり。 付属品は箒、箒用固定アーム、マジックペット(青い蛇) ユリ on MMS オンラインクイズゲーム「クイズマジックアカデミーシリーズ(QMA)」に登場するプレイヤーキャラ、ユリをMMS Ver.2を使用し、アクションフィギュア化したもの。 通称:ユリ 髪色:青のポニーテール 瞳色:水色 体色:下着は白、足元はブーツ(足首を外せばカバーも外せる) 雰囲気:とにかく元気 その他: フィギュア概評: フェイスはニヤリ顔と叫び顔の二種類付属。 服装は第1アカデミー格闘学科制服姿を再現している。(○リキュアの黒い人ではないので注意) 付属品は箒、箒用固定アーム、マジックペット(紫のコウモリ) beatmaniaIIDX beatmaniaIIDX セリカ on MMS beatmaniaIIDX 3rd styleより登場した看板キャラ「セリカ(CELICA)」をMMS Ver.2を使用し、アクションフィギュア化したもの。 ちなみにフルネームは「水城セリカ(みずしろ せりか)」。 通称:セリカ 髪色:ピンクに近い紫 瞳色:赤 体色:FRESH VER.2の近似色 雰囲気:元気娘、ギャル、むっちんぷりん その他: フィギュア概評: ボヂィは胸パーツ固定・背中の軸無しで替わりに足裏に軸穴を追加した仕様。 2nd素体だが、3rd素体との頭と靴(足首)の交換が可能。 神姫軸は足裏にしかないため、手持ち用でない神姫武装を付けるには拡張スペーサーを付けるしかない。 スカートのせいで股関節周りの可動が妨げられている。 背中ではなく足裏に接続・固定する専用スタンドが付属。専用スタンドは足裏の穴に軸を差し込む仕様の為、そのままでは神姫に流用出来ない。 最大の特徴であるロングツインテは固定されている為、可動及び着脱が不能。 スカート一式、ソックス、上着に軟質素材を使用。(※ただしおっぱいは固い・・・。) 正規のMMS規格品としては珍しく、手首は指貫きグローブタイプ。 よく見ると上着のお腹と背中にシワが再現されている。 ぱんつは食い込んだしましまピンク。 スカートは胸下までズリ上げる事が出来るので足の脱着時に邪魔にならない。 右太モモに赤いリボン付きスペーサー、左太モモに銀色のスペーサー付き。どちらも専用品。 付属品は通常顔、笑顔、手首×6(グー・パー・武器持ち用それぞれ左右一つ)、専用スタンド一式、可動軸隠し用シール一枚。(パーツ収納用コンテナと拡張パーツ一式は付属せず。) 服は両肩で接着されているので肩の部分をお湯で温め慎重に剥がし、上半身のネジを緩めれば脱がせることも可能。また、ソックスは接着されているので注意。 beatmaniaIIDX イロハ on MMS beatmaniaIIDX 9th styleより登場したキャラ「彩葉(IROHA )」をMMS Ver.2を使用し、アクションフィギュア化したもの。 ちなみにフルネームは「梅桐彩葉(うめぎり いろは)」。 通称:イロハ、彩葉 髪色:オレンジ 瞳色: 体色: 雰囲気:大人なお姉さん、むっちんぷりん その他: フィギュア概評: 2nd素体だが、3rd素体との頭と靴(足首)の交換が可能。 神姫軸は足裏にしかないため、手持ち用でない神姫武装を付けるには拡張スペーサーを付けるしかない。 スカートのせいで股関節周りの可動が妨げられている。 背中ではなく足裏に接続・固定する専用スタンドが付属。専用スタンドは足裏の穴に軸を差し込む仕様の為、そのままでは神姫に流用出来ない。 付属品は通常顔、笑顔、手首×6(グー・パー・武器持ち用それぞれ左右一つずつ)、専用スタンド一式、可動軸隠し用シール一枚。。(パーツ収納用コンテナと拡張パーツ一式は付属せず。お札も付属しません。) 服は両肩で接着されているので肩の部分をお湯で温め慎重に剥がし、上半身のネジを緩めれば脱がせることも可能。 S.O.Lシリーズ商品 S.O.Lとは「Special Operations Lady」の略。MMS Ver.2ボディを使用し、従来のMMSコンテンツラインとは全く違ったリアルなミリタリーアクションフィギュアというコンセプトになっている。(MMS Ver.2の特徴に関しては上項「MMSキャラクター商品」を参照) ただしMMSボディのスマートさのため、本来体格がよくなければならない軍人(兵士)としてはかなり華奢な印象になってしまっている(特に肩幅)。 S.O.Lシリーズ最大の特徴は、軟質素材を使用した服(ズボン)の再現にある。パーツの分割とあわせ、MMSボディの可動を極力生かすようになっている。 MMS NAKEDと同様、オンラインサービスには対応していない。 現在第一弾二種類が発売されているが、リアルすぎるせいでミリタリーマニアでなければ色以外での区別が難しく、「同じものを付属品やカラーを少し変えただけで別商品として水増している」と誤解されがちである。 衣服の軟質素材はヨーコの胸パーツ同様に非常に劣化しやすいものであったが、S.O.Lに関しては未だ対策がなされておらず、2008年12月現在生産停止中である。 Special Operations Lady SWAT MMS Ver..2ボディを使用した女性警官のアクションフィギュア。アメリカ警察の特殊部隊「スワット」がモデルと思われる 通称:スワット、スワットさん 髪色:金髪/髪は団子状にまとめて後ろに上げてある。 瞳色:青 体色:ほぼ全身黒一色 雰囲気:精悍な女性戦士 その他:頭の大きさはボディに対して普通。劇画調のリアルな顔立ちが特徴。 フィギュア概評: 衣装パーツとしてニーパッドとブーツが一体化したアーミーパンツとアーミーベストが二種類付属する。股スペーサーの代わりにつけるレッグホルスターとマガジン(弾倉)ポーチが付属。 衣装は着た状態が基本となる。そのため、衣装の下は非常に味気ないものとなっており、他のMMS Ver.2製品と違い胸パーツも付属していない。 頭部パーツは通常の他、ガスマスク、目出し帽を被ったものが付属する。また、脱着可能なヘルメットが一つ付属する。 通常のMMS共通手首パーツの他、従来の持ち手では構えにくかった曲銃床の銃を構えるための大きく角度のついた手首が付属する。(右手のみ) 付属武器はM40狙撃銃(スコープ付きライフル)、MP5サブマシンガン、SIG SAUER P226ハンドガン、ベネリM3ショットガン(ストック無し)。ライフルの狙撃用二脚は取り外し可能だが、閉じた状態のものは付属しない。 オプションパーツとして、バッグ二個、手榴弾、タバコ、包帯シールが付属する。 衣装、武装、オプションパーツともに造形は全体的にリアルで細かい。 軟質素材の衣装のせいか価格が高く、武装神姫最大級のボリュームであるムルメルティアとほぼ同価格でありながら衣装を除けば小物類しか付属しないためボリューム不足と評価されることが多い。 Special Operations Lady DELTA MMS Ver..2ボディを使用した女性兵士のアクションフィギュア。アメリカ陸軍特殊部隊「デルタフォース」をモデルにしたと思われる (ただし、実際のデルタフォースには女性は参加できない) 通称:デルタ、デルタさん 髪色:茶色/短髪 瞳色:青 体色:ズボン、シャツは薄い黄色、ブーツおよびベストが黒 雰囲気:精悍な女性戦士。 その他:頭の大きさはボディに対して普通。劇画調のリアルな顔立ちが特徴。MMS初の黒人キャラクター。(しかし着衣が砂漠用である事から、日焼けした白人とも取れる) フィギュア概評: 衣装パーツとしてニーパッドとブーツが一体化したアーミーパンツとアーミーベストが二種類付属する。股スペーサーの代わりにつけるレッグホルスターとマガジン(弾倉)ポーチが付属。 衣装は着た状態が基本となる。そのため、衣装の下は非常に味気ないものとなっており、他のMMS Ver.2製品と違い胸パーツも付属していない。 頭部パーツは通常一種、ヘルメット用二種。ヘルメットは脱着式では無く、ヘルメットに専用の頭部パーツを差し込む方式。通常フェイスと、目出し帽を被ったものがある。ヘルメットはゴーグルを上げたものと下ろしたもの二種類が付属。 通常のMMS共通手首パーツの他、従来の持ち手では構えにくかった曲銃床の銃を構えるための大きく角度のついた手首が付属する。(右手のみ) 付属武器はM14ライフル、M4アサルトライフル、M1911A1ハンドガン、ベネリM3ショットガン(ストック無し)。 オプションパーツとして、バッグ二個、手榴弾、タバコ、ライター、包帯とガムテープシールが付属する。 衣装、武装、オプションパーツともに造形は全体的にリアルで細かい。 軟質素材の衣装のせいか価格が高く、武装神姫最大級のボリュームであるムルメルティアとほぼ同価格でありながら衣装を除けば小物類しか付属しないためボリューム不足と評価されることが多い。 装備しているベストの形状などから、映画『ブラックホークダウン』(リドリー・スコット監督・2001年)のデルタを念頭に置いている思われる。 スカイガールズシリーズ コナミがメインスポンサーを務めた2007年7月放送のアニメ『スカイガールズ』に登場するキャラクターをMMS素体で再現したシリーズ。 武装神姫と同じくメカと少女をコンセプトとしており、女性キャラクター&メカデザインには島田フミカネ氏を起用している。 (ちなみに男性キャラデザの黒星紅白氏、メカデザの明貴美加氏も後に武装神姫に参加している) 他のMMSキャラクター商品と違い、武装神姫と同じく従来のMMS素体が用いられている。ただし特徴的なモーションスリットを再現するために、ボディ(下半身)と足パーツが新規設計されている。 足首パーツもモーションスリットの造形に合わせた新規設計のものが付くが、代わりにMMSボディ共通の足首パーツは付属しない。また、瑛花との身長差を再現するためスネおよび胴体接続パーツは武装神姫第二弾、第七弾のフルセットと同じ短いものが使用されている 新規造形パーツはモーションスリットを再現することに重点を置いた結果、武装神姫との互換性が失われている。背中の拡張ハンガーが使用できず、胸パーツも専用のものをボディに直接接着されているため無改造での交換は不可能。 胸パーツは組み替え要素を排除したかわりに従来より設定どおりのラインにすることに成功しており、キャラクターの設定をを再現している。 拡張ハンガーの問題に関しては、干渉する突起を削るか武装神姫第8弾の戦闘機型MMS飛鳥に付属する専用拡張ハンガーを流用することで解決できる。 残念ながら「スカイガールズ」最大の特徴である強化外骨格「ソニックダイバー」はその巨大さゆえ付属しておらず、今のところ同スケールでの商品化の報は無い。 (MMSより一回り小さいサイズ約1/18ではグッドスマイルカンパニーより発売) 桜野 音羽 on MMS TVアニメ「スカイガールズ」の主人公キャラクター、桜野 音羽(さくらの おとは) をMMSを使用し、アクションフィギュア化したもの。 通称:おとは、白い子 髪色:明るい栗色/ボブカット 瞳色:赤色 体色:白色ベースに一部灰色、アクセントに黒ラインと黄色 雰囲気:アニメでは活発なキャラクターだがフィギュアはアイペイントがややタレ目なため、髪型と相まって大人しそう。 その他:頭の大きさはボディに対してやや大きめ。 フィギュア概評: 瑛花との身長差を再現するためスネおよび胴体接続パーツは武装神姫第二弾、第七弾のフルセットと同じ短いものが使用されている 胸パーツは組み替え要素を排除したかわりに従来より薄くすることに成功しており、本キャラクターの控えめなバストを再現している。 前髪は通常のものとモーションスリットの五角形のセンサーが付いているものの2つが付属する。 共通の付属品として特徴的なモーションスリットの尻尾ケーブル、PDA風のモバイル端末が付属する。その他、音羽専用付属品として日本刀(MVソード)が付属する。また、MMS NAKEDと同仕様の簡易式スタンドが付属。 付属品が少ないため、ややボリューム不足と評価される事が多い。武装神姫との互換性の低さも、MMS NAKEDの代わりにしようとしていた武装神姫ユーザーには不満が残る結果となった。 一条 瑛花 on MMS TVアニメ「スカイガールズ」の登場キャラクター、一条 瑛花(いちじょう えいか) をMMSを使用し、アクションフィギュア化したもの。 通称:えーかさん、釣りバカ 髪色:黒/ポニーテール 瞳色:明るい茶色 体色:くすんだ水色ベースに一部藍色、アクセントに黒ラインと黄色、首周りから背中の一部にかけて白 雰囲気:口を結んだ表情とツリ目から、きりっとした印象 その他:頭の大きさはボディに対してやや大きめ。ポニーテールは武装神姫の共通ジョイントで接続されており、横ロール可動する。 フィギュア概評: 胸パーツに関してはスタイルが良い設定なのでバストサイズは大きめになっている。 前髪は通常のものとモーションスリットの五角形のセンサーが付いているものの2つが付属する。 共通の付属品として特徴的なモーションスリットの尻尾ケーブル、PDA風のモバイル端末が付属する。その他、瑛花専用付属品として釣り竿が付属する。また、MMS NAKEDと同仕様の簡易式スタンドが付属。 付属品が少ないため、ややボリューム不足と評価される事が多い。武装神姫との互換性の低さも、MMS NAKEDの代わりにしようとしていた武装神姫ユーザーには不満が残る結果となった。 フミカネ氏がデザインした神姫は頭部武装が神姫軸で嵌っていることが多い。塗装が出来る人ならば、この子のを流用することでポニーテールのジールベルンなどを作ることもできる。 園宮 可憐 on MMS TVアニメ「スカイガールズ」の主人公キャラクター、園宮 可憐(そのみや かれん) をMMSを使用し、アクションフィギュア化したもの。 通称:かれん 髪色:明るい灰色/二本の短いお下げ 瞳色:紫 体色:淡く、くすんだオレンジベースに一部明るい茶色、アクセントに黒ラインと黄色、股間と首周りから背中の一部にかけて白。 雰囲気:おっとりとしていて大人しい。 その他:頭の大きさはボディに対してやや大きめ。お下げは接着されていないため一応、横ロール可動する。 フィギュア概評: 瑛花との身長差を再現するためスネおよび胴体接続パーツは武装神姫第二弾、第七弾のフルセットと同じ短いものが使用されている 胸パーツは組み替え要素を排除したかわりに従来より薄くすることに成功しており、本キャラクターの控えめなバストを再現している。 拡張ハンガーの問題に関しては、武装神姫第八弾の戦闘機型MMS飛鳥に付属する専用拡張ハンガーを流用することで解決できる。 前髪は通常のものとモーションスリットの五角形のセンサーが付いているものの2つが付属する。 共通の付属品として特徴的なモーションスリットの尻尾ケーブル、PDA風のモバイル端末が付属する。その他、音羽専用付属品として小型のノートPCが付属する。また、MMS NAKEDと同仕様の簡易式スタンドが付属。 付属品が少ないため、ややボリューム不足と評価される事が多い。武装神姫との互換性の低さも、MMS NAKEDの代わりにしようとしていた武装神姫ユーザーには不満が残る結果となった。 エリーゼ on MMS TVアニメ「スカイガールズ」の登場キャラクター、エリーゼ・フォン・ディートリッヒをMMSを使用し、アクションフィギュア化したもの。 通称:ロリーゼ、デコ 髪色:金髪/ロングヘアー、前髪はアップしておりおでこが出ている 瞳色:青 体色:胴体(胸から腹にかけて)は白色、その他は濃いモスグリーン、アクセントに黒ラインと黄色 雰囲気:勝ち気な少女 その他:頭の大きさはボディに対してやや大きめ。 フィギュア概評: 他のMMSキャラクター商品と違い、武装神姫と同じく従来のMMS素体が用いられている。ただし特徴的なモーションスリットを再現するために、ボディ(下半身)と足パーツが新規設計されている。足首パーツもモーションスリットの造形に合わせた新規設計のものが付くが、代わりにMMSボディ共通の足首パーツは付属しない。 本来は音羽たちよりもさらに低身長だが、音羽、可憐がすでに1st素体の仕様では一番小さい(胴体の関節とスネが短い)ため、同身長となっている。 エリーゼのモーションスリットは音羽たちとは違ったデザインをしているが、完全に再現しきれていない 胸パーツは組み替え要素を排除したかわりに従来より薄くすることに成功しているが、それでもアニメでの本キャラクターのバストより大きい。 前髪は通常のものとモーションスリットのウサギの耳のような突起のついたものの2つが付属する。 共通の付属品として特徴的なモーションスリットの尻尾ケーブル、PDA風のモバイル端末が付属する。その他、エリーゼ専用付属品としてテディベア風の熊のぬいぐるみが付属する。ぬいぐるみは手足と首が共通ジョイント接続になっており、可動する。また、MMS NAKEDと同仕様の簡易式スタンドが付属。 アイーシャ on MMS TVアニメ「スカイガールズ」の登場キャラクター、アイーシャ・クリシュナムをMMSを使用し、アクションフィギュア化したもの。 通称:インドさん 髪色:黒/ショートカット、耳の前の横毛のみ長い 瞳色:茶色 体色:濃いダークブルーベースにラインなどが青紫、アクセントに黒ラインと黄色 雰囲気:クールな無口キャラ その他:頭の大きさはボディに対してやや大きめ。 フィギュア概評: アイーシャのモーションスリットは音羽たちとは違ったデザインをしているが、完全に再現しきれていない。 胸パーツは組み替え要素を排除したかわりに従来より薄くすることに成功しており、本キャラクターの控えめなバストを再現している。 前髪は通常のものとモーションスリットの五角形のセンサーが付いているものの2つが付属する。 共通の付属品として特徴的なモーションスリットの尻尾ケーブル、PDA風のモバイル端末が付属する。その他、アイーシャ専用付属品としてヘルメットが付属する。ヘルメットは髪パーツと交換する形でかぶらせる事ができる。また、MMS NAKEDと同仕様の簡易式スタンドが付属。 フィギュメイト 厳密にはMMSではないが、NAKED素体付属のダミーヘッドと互換性があったり、書籍『FIGUMATE COMPLETE』付属のジョイントでMMS素体にフィギュメイトの頭部を付けられたりと、何かと縁のある商品ではある。なおイメージイラストを担当するのは、第7弾EXシュメッターリングをデザインしたちびすけマシーン氏。 フィギュメイト版ストラーフ フィギュメイトに準じて、二頭身のディフォルメ体型にアレンジされたストラーフ。 書籍『FIGUMATE COMPLETE』の特典である。 武装パーツの類は付属しない。 通称:フィギュラーフ、ちびラーフ 髪色・瞳色・体色:悪魔型ストラーフに同じ。 雰囲気:MMSと比較すると体型・身長ともに幼児サイズであるため、本家ストラーフと並べるとさながら母娘のようである。 その他:本家ストラーフに準じて無表情で、瞳の色も薄いためか他のフィギュメイトとは雰囲気が大きく異なって見える。 フィギュア概評:上記のように母娘に見えることから人気はあるのだが、フィギュメイト1体のために購入するには『FIGUMATE COMPLETE』はいささか高価である(\3000)。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2709.html
店長たちが部屋を出るのを確認した私は、声のボリュームを少しあげました。 「えっと、それであなたの名前は?」 さっきも聞きましたが、答えてくれなかったので、もう一度。 「……データが破損していて、わかりません」 今度は答えてくれました。しかし、内容はあまり芳しくありません。 「じゃあ、憶えていることは?」 「……以前のマスターのこと……それと、見慣れないデータだけです」 見慣れないデータ、これは店長が入れたものです。あの樹羽という少女についてのものだと聞きました。 「あなたのマスターは、どんな方でした? 多分、あなたがいなくなって、心配してますよ」 「……それは無いと思います」 「なんでですか?」 「……マスターにですから、改造されたの」 「……っ」 けっこうショッキングな事実でした。 私は、マスターたちがこの子のことを調べている間、改造された武装の方を調べていたから、初耳です。 「だから、心配なんかされていません。もしかしたら、いなくなった私の代わりに誰か改造してるかもしれません」 「…………」 いけません。話がだんだんネガティブな方向に転がっていきます。非常によろしくありません。こういう空気は大っ嫌いです。 でも、この空気を無理に変えようとすると、余計に悪化する可能性があるので、控えます。こじれると厄介です、本当に。 「……今でも、そのマスターの所に帰りたいですか?」 私は少し小さな声で尋ねました。多分、一番重要な質問です。 この答えによって、あの少女がこの子のマスターになるかが決まるわけですから。 「……いいえ、戻りたくありません。戻りたくても戻れません……」 「戻れない……?」 「解除されてるんです。マスター登録が」 「登録が?」 どういうことでしょう? まさか、店長にですか? いえ、いくら店長でもそこまでしません。 『あ、しまった』とか言って解除しちゃうところとか想像出来ちゃいますけど。 「だから、厳密に言えばマスターじゃないんです。私は今、マスター不在の状態で……」 「でも、そのマスターのこと憶えているんでしょう?」 「記憶回路にです。マスターの情報はほぼ全て壊れていて……」 顔は憶えていて、マスターということはわかるのに、名前とかがわからないということですか。記憶喪失みたいです。 「でも、もし戻れるとしたら……」 「……?」 「止めてあげたかった。ほんの少しだけ、憶えているんです。あの人が笑った顔を」 「…………」 「止めてあげたかったけど、どこの誰かわからないんじゃ、無理ですよね?」 ……あぁ、無理ですね、これは。 「……大好きだったんですね」 「え?」 「そのマスターのこと、あなたは大好きだったんですよね」 すいません店長。私には荷が重すぎます。こんなに昔のマスターに想いをはせている人に、新しいマスターを迎えろなんて言うの、無理です。 「……はい、大好き……でした」 「……?」 「でも、それはまやかしでした。本当に私のことを想ってくれていたなら、絶対に改造なんてしません。それでも私はマスターを愛していました。たとえ一方的な片想いだとしても」 彼女は自重気味に笑います。 「こんな中途半端な気持ちが生まれるなら、最初から会わない方がよかったのに……」 「…………」 私は、何を言えばいいのかわかりませんでした。彼女のその瞳の端に浮かぶ涙を見ていたら、何も言えなくなりました。 でも同時に、一つの希望が見えました。 「……そんなあなたに、頼みたいことがあります」 言わなければなりません。この子には悪いですけど、あの少女のためです。 「人助けをしてくれませんか?」 「人助け……ですか?」 「はい、そのデータの人です」 彼女は軽く目を閉じ、再び開けました。 「奏萩樹羽、16歳中卒。身長155cm、体重48Kg、スリーサイズは……」 「それは言わなくていいです」 私がピシャリと言うと、彼女はまた目を閉じて、開けました。 「……高校を中退後、現在まで無職。神姫に関する知識は少ない。また、運動は得意。料理を初め、家事全般が出来る」 ずいぶん詳しい情報まで入ってます。調べたのは店長なのでしょうか? だとしたら後で断罪を加えなくては。 「この人……ですか?」 「はい、神姫のマスターになりたいとおっしゃっていました」 私は姿勢を正します。 「この人の、神姫になって欲しいんです」 「…………」 あー、もう口開けてポカンとしてます。完全にアウトですね、これ。 「いえ、もちろん無理にとはいいません。こちらとしても厚かましいと思っていますし、マスターがいなくなったばかりで気持ちを整理したい時だってのもわかってるんですけど、そんなあなただからって言うと大変アレですけど適役って言うか、普通の神姫じゃダメって店長が言ってたというか、だから何が言いたいかって言うと……」 「はぁ、いいですけど」 「いえ、もちろん承諾していただこうなんて思ってな……っていいんですか!?」 「はい、構いません」 あっさり頷きました。驚きです。こんな突拍子もないお願いを聞いてもらえるなんて思ってませんでしたから。 「今データを詳しくみてみたんですけど、この人も、辛い経験をしてらっしゃるんですね」 「はぁ……それってどんな?」 「彼女のお父様が経営していた会社が、部下の裏切り行為で倒産したんだそうです」 「倒産って、じゃあ今は?」 「記録によると、もう8年も前のことで、今は別の会社に就職してるそうです。しかし、彼女はそれが原因で人を信じれなくなったようで……」 店長と話していた彼女を思い出します。一応まともに話していましたが、あれでも内心信用してなかったんですかね。 「他人を信じられず、他者と距離を開けてしまう。そんな彼女を外に連れだして、社会に復帰させるのが、私の役目になるんですね」 「いいんですか? ホントに」 あんなに前のマスターのことを気にかけていたのに、ちょっと切り替え早くありません? 「いいんです。いつまでも、クヨクヨしてられません。それに……」 彼女は笑います。 「この方なら、絶対に私を裏切らない。そうな気がするんです」 確かに、裏切らない、というか、裏切れないと思います。 だって、人の裏切りを知っているから。 裏切られてしまった人が身近にいるから。 自分は、裏切られる悲しみを味わいたくないから。 「えぇ、私もそう思います」 だから、あの子なら任せられる。 同時に、この子なら任せられる。 そういうことでいいんですよね? 店長。 「…………」 「…………」 エリーゼとあの神姫を二人きりにして、しばらく経った。私は特にすることもないから、棚にならんだ商品を眺めていた。 神姫用の小さな銃や、剣。また、彼女たち専用の防具。 そして、彼女たち自身。 「いいですよね、神姫」 後ろからいきなり話かけられて、かなり驚いた。が、表には出さない。私がこれまでで培ってきた技だ。 「……そうですね」 「彼女たちは機械ですが、もうほとんど人間みたいなものですからね。こうやって並んで箱詰めされているのに、たまに疑問を感じます」 「……人身売買ですか?」 「ははは、手厳しいですね」 柏木さんは薄く笑う。 「僕は、商売を抜きにして、彼女たちがたくさんの人に触れることを願って、この店を開いたんですよ」 「……そうですか」 エリーゼが言っていたことが少し読めた気がした。つまりこの人は神姫のマスターが一人でも増えることを望んでいる。しかも今回の場合、神姫が神姫だ。嬉しさも増すというものだろう。 私は神姫たちを見る。目を瞑り、じっと来るべきマスター待っている。 いつか、この神姫たちにもマスターが来るのだろうか? 「店長~!」 その時扉が開き、エリーゼが姿を表した。後ろにはあの神姫も見える。 「エリーゼ、首尾はどうですか?」 「大丈夫ですー! 一気にマスター登録まで行ってもオールオッケーです!」 どんな会話をしていたのかわからないが、よくあの状態からそこまでことを運んだものだ。 「あなたも、それでいいですね?」 「はい、もう決めました」 はっきりと答える。本当に大丈夫なようだ。 「分かりました。では、こっちに来てください」 エリーゼたちを手に乗せ、柏木さんは店のカウンターへ向かう。私もそれに続いた。 あの神姫をクレイドルに乗せ、柏木さんがカウンターのパソコンを軽く操作する。 「では、手早くやっちゃいましょうか」 「と言っても、樹羽さんのデータは全て彼女にインストールされてますけどね。そうですよね? 店長」 エリーゼがなにやら怖い顔で柏木さんを見る。 「何が書いてあったか定かではありませんが、勘違いしないでください。あれの情報元、及び製作は私ではありません。内容も見てませんよ? 製作者の言いつけでしたので」 「あ、そうなんですか? よかったです」 話から、だいたい私のデータがどうこう言っているのはわかった。柏木さんが作ったのでないなら、誰が作ったのだろう? って、一人しかいないか。 「ま、そういうわけですので、後はこの子の名前と、マスターの呼び方を決めるだけです」 名前と呼び方、か。呼び方は……まあ普通に『樹羽』でいいとして、後は名前か。 私は悩んだ末に、とりあえず言ってみた。 「クラン」 「それでいいんですか?」 確認をとられると、本当にこの名前でいいのか悩んでしまう。物凄くテキトウに考えた名前だし。 じゃあ、なにがいいだろう。 私には知り合いが少ない? んー、知り合い……シリア…… 「シリア……でいいとおもいます」 うん、なかなかしっくりくる名前な気がする。割りと安直な気がするけど。 「じゃあ、呼び方は?」 「それは普通に『樹羽』で」 「分かりました。では入力しますね」 カタカタとテンポよくキーが叩かれ、最後にタンッとエンターキーが押される。 「完了です。どうですか? 『シリア』さん?」 神姫はゆっくりと目を開く。 「はい、大丈夫みたいです」 神姫は私の方を見上げる。 「これから、よろしくね、『樹羽』」 ちゃんとマスター登録は出来たようだ。 「うん、よろしく、『シリア』」 だから、私はそう返した。 第三話の1へ 第四話の1へ トップへ戻る
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アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
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最高で最低の奴隷Ⅳ 歪みし忠節 序章(前編) 「以上で今回の集会を終了します。お集まりの方々、遠いところからご足労頂き誠にありがとうございました。なお、詳しい指示に関しては後日各々に連絡します」 扇状に広がった会議室のその中心で、一番若い虎の少女がその姿には似合わぬ厳かな口調でそう宣告したと同時に、開かれていた会議は幕を閉じた。 彼女こそ、大陸最大の国際複合企業体『白虎総合商社』の総帥にして創設者、ミリア・メーデルである。 突如として虎の国の産業界に現れた彼女は、豊富な資金と突出した技術力を用いてその業界に革命を起こし、信じられないスピードでその頂点についた麒麟児だ。 医療、食料、運輸、その他の様々な産業に革命を起こし、その他の功績も相まって王族を除けば最高位の公爵の位を与えられた大貴族でもある。 元は地方の弱小貴族の一門の小娘だった彼女は今や、国家財政を操れるほどの資産を持つ鉄の女ならぬ、金の女になっていた。 そうなるといろんな噂が立つ物で、実は猫の国のフローラの隠し子で虎ではなく猫だとか、現国王の隠し子だとか、ダンジョンで眠りについていた古代の虎だとか、女装趣味のマダラとか(根拠は胸のなさ)、悪魔と契約した魔女という噂すらある。 しかし、その真実を知る者は少ない。 この最高幹部会議に出席している、各部門の責任者達の中でも極僅かの者達しか知らないのだ。 そして、事情を知っている者達はミリアの背後に立つシルスに向けて、様々な種類の視線を送ってきている。 面白がるような視線や、同情的な視線に、呆れ返っている視線、その中で一番多いのは責めるような視線だ。 シルスの事をよく知っている人が見れば、彼の頬が僅かに引きつっているのを発見しただろう。 「では、私はこれで――――」 全ての元凶である少女には、シルスを越える圧力がかかっているだろうに、その姿は堂々とした物だった。 置いてあった資料を手に取ると、そのまま視線などどこ吹く風で悠然と部屋を退出していく。 シルスもすかさずその背後に付き従い会議室を後にした。 「次の予定は何かしら?」 「この後、ル・ガル王国の工場拡張について、議会の議員と会食して、その後猫の国の商会との業務提携及び契約更新だ」 何処か気怠げなミリアの声にシルスが真面目腐った声音で答えを返す。 しかし、一般市民の数十年単位の所得に匹敵するであろう美術品が、その配置にすらこだわり抜かれて置かれている廊下を歩く様は周りの美術品に全く負けないほど美しい。 対して、後について歩いている少年の方は人生に疲れたような表情をしていて、不景気極まりない。 「確か落ち物の研究にうちの技術を提供する代わりに、特許料を割り引いて貰うのよね。だけど強欲な猫と交渉するのは気が乗らないわ」 憂鬱そうにため息を吐くミリアに、シルスはこちらも億劫そうに肩をすくめた。 「仕方ないだろう。猫の国は大陸一富を持っているからな。うちも蔑ろには出来ないし、何よりも、猫の国にはもっと儲かって貰わないと困る」 「それは分かっているわ。この国が豊であるために猫の国にはもっと富んで貰わないといけない事もね」 宥めるようなシルスの口調に、ミリアは当然分かっているとばかりに頷く。 「……………そのうち休みを取るから、今は我慢してくれ」 「その約束が破られるのは何回目かしら?」 妥協案を提示したはずのシルスだが、そう言って半眼を向けられて言葉に詰まった。 「…………まあいいわ、その代わり今は付き合って貰うわよ」 ネズミを捕らえた悪戯猫のような表情で、ミリアはシルスを壁に押しつける。 「ここでやるのか?」 「別にいいじゃない。誰も居ないんだから―――」 ミリアの言葉通り、ここは彼女の部屋から会議室までの直通通路であるため他に人影は居ない。 「でもな―――」 「あら、じゃあ今すぐ私に休みをくれるのかしら―――」 果敢にも反論のために口を開くシルスだが、その言葉に沈黙を強いられる。 反論のないことを了承と受け取ったのか、ミリアがシルスの手を取って自分の豊満な胸に導く。 女性の柔らかさと温かさに触れて、再び口を開こうとしたシルスだが首に手を回されそのまま強引に唇を塞がれた。 体を押しつけられ、全身でその感触を堪能させられる。 胸と胸がぶつかり合い、ミリアの柔らかい胸が潰れて歪む。 唇の方はもはや息する必要はないとばかりに、熱烈に吸い付かれる。 あまり乗り気でないシルスの舌を、しかしミリアは強引に捕まえて自分の口の中に引き込む。 息継ぎは鼻息だけになり、息苦しさのためかそれとも興奮のためか二人の頬が赤く染まり始めた。 数十秒か、数分か――― やがて、二人の唇が離れた。 赤く染まった頬に潤んだ瞳で見上げてくるミリアに、シルスは大きく息を吐く。 覚悟を決めたとばかりにミリアの首筋に食らい付き歯を立てる。 「…………ん」 痛みのような快楽のような微妙な感触に眉を潜めるミリアに、シルスはそのまま唇を滑らせた。 首筋から鎖骨を通り、胸に到達した唇は、興奮に固くなった突起を捕らえる。 「あぅっ」 今度の刺激は少し強かったのか、呻きにも似た声が上がるがそれには間違いなく艶が含まれていた。 ミリアの体を抱き寄せて、今度は自分から手を背中に回す。 背中に付いているファスナーを下ろし肌を露出させ、片手の五指の腹を背中に這わせる。 胸に対する愛撫は背中側に対する愛撫とは正反対に激しい物だ。 片方の突起を口に含み、空いた片手でもう片方の胸を包み込み指がめり込むほど握りしめる。 「ん、あっ」 前後からの異なる種類の刺激に、ミリアの体温が上昇し、息が荒くなっていくのをシルスは感じた。 胸に置いていた手を腹に這わせて、そのまま下半身まで伸ばしていく。 その部分は下着の上からも分かるほど濡れており、下着の中に滑り込んだシルスの指は易々と膣内に受け入れられた。 「んっ」 入った瞬間、一瞬だけミリアの体が硬直するが、すぐに弛緩し代わりに首に回された手に力が籠もる。 二人の体がさらに密着し、互いの上昇した体温を確認できた。 そして胸から戻ってきたシルスの唇が、今度は逆にミリアの唇を塞ぐ。 ジュルリと下品な水音を立てながら、互いに相手の口の中に舌を差し入れ愛撫しあう。 その間、ミリアの中に迎え入れられた指はゆっくりとかき混ぜられ続けている。 「………なんだかんだ言ってやる気じゃない」 興奮に耳まで赤く染めた少女が言ったその囁きは、しかし時を経た淫魔のようなねっとりとした甘さを含んだ物だった。 ミリアは首に回していた腕の片方を解いて、シルスのベルトをはずし始め一度話した唇を再び合わせる。 シルスの方から送られてきた唾液を喉を動かし飲み込みながら、腕はズボンの中に潜り込んだ。 興奮し固くなったそこを引き出し、自らのスカートの中に導く。 「入れるからどけて」 息継ぎの合間の言葉にシルスは素直に手を引き抜き、ミリアのスカートを持ち上げる。 「ん………あ」 自らの手の導きで、興奮して固くなった物が入り口に触れた瞬間、それまでとは一段上の艶を含んだ声が上がった。 向きを合わせるため、ミリアの足が爪先立ちになり、相方のシルスの方の腰が下げられる。 もはや刹那の躊躇いすらなく、それはミリアの中に収まった。 「んっくぅっ」 自らのドレスを噛み締めて声を殺すミリアを、シルスは強引に抱え上げる。 「………………」 「………………」 今まで何度も繰り返してきた動作にもはや言葉は必要なく、ミリアがシルスの腰に足を絡めるのと同時に二人は動き出す。 「はあぁっ」 「くっ」 熱く湿った吐息を漏らしながらミリアの膣内はシルスを歓迎した。 蕩けそうな程の熱を持ったそこは、入ってきた物を緩やかに緩急をつけながら締め付け蠢き愛撫する。 「あはっ、分かるシルス? あたしの中で動いているのが―――」 楽しげに笑いながら、ミリアは腰を動かす。 そうすると、只でさえ蠢いている粘膜に擦られたまらない快感がシルスに押し寄せる。 「じゃあ、次に行くね」 さりげなく呟かれたその声に、しかしシルスの顔は盛大に引きつった。 「ちょ、待て早い―――」 「駄目、待たない」 慌てて制止するその声に、しかしミリアは情欲に染まった笑みを浮かべて拒否を示す。 次の瞬間、シルスの脳に快楽の電流が走る。 「つぁっ!?」 繋がっている部分が溶け崩れ、強引に繋がれた神経に快楽を直接たたき込まれる感覚にシルスは呻く。 「うふふ、シルスの気持ちよさが私にも伝わってくるわ」 神経が繋がっている以上、ミリアの方にも快楽が伝達されているはずだがシルスより耐性があるらしくまだまだ余裕だ。 「っ―――」 舌打ちと供に抱え上げていた片腕をはずし、ミリアの頭をつかんで強引に唇を合わせる。 イメージ的には舌が溶け崩れ相手の口内の粘膜に染み渡る感じを思い浮かべた。 そこからさらに、自分の感じている快楽を流し込むようにイメージする。 抱えている体がピクピクと痙攣するのを感じとり、そのまま強引なキスを続けた。 互いに相手の感覚が繋がり、ミリアの快感がシルスの快感になり、シルスの快感がミリアに伝わっていく。 単なる交わりとは違い、共有する感覚は単純に二倍ではなく二乗にもなり、二人は急速に高まっていく。 「………っ」 シルスが絶頂感を感じると同時に、ミリアの体も仰け反った。 そして次の瞬間、ミリアの胸元から生えた銀色の刃がシルスの胸を射抜いた。 「…………やったか?」 折り重なって倒れる二人のすぐ傍からその声は響いた。 純白の大理石の一点に、しかし黒いシミが滲み出る。 最初は一滴の雫を垂らした程度だったシミは、一秒後には人間大の大きさになっていた。 そして、そのシミは二次元に反逆するかのように盛り上がり、形を取っていく。 初めは頭、そして首、肩から腕と胴体と――― それに反比例するかのように、シミの大きさは小さくなっていく。 最後に形取られた足が壁から引き抜かれると同時に、シミは完全に消滅していた。 壁から出てきたのは黒いコートを纏った人影だった。 それに続くかのように、床や壁から次々と同じ格好の人影達が現れる。 その服装と登場のしかたから、少なくとも堂々と人前に出られるような立場の人間でないことがうかがい知れた。 「四局が新しく開発した毒薬を塗っていたんだ。即死だろう」 人影の一つが初めの声にそう答える。 顔から頭まで真っ黒な仮面で隠されており、その人物の表情を読み取ることは出来ない。 「しかし、片方は不滅の騎士だぞ。毒ごときで倒せる物なのか?」 「いや、脈は止まっているし、心臓も動いていない。完全に生体反応は消失している」 シルスの横に屈み脈を測っていた人影が、一番後の人影の意見を否定する。 「やはり只の噂か、それとも意図的に流された情報か―――メーデル公爵がとんでもない化け物を飼っているという噂は――」 「可能性としてはありえるな。だが、過去に私達と同じ者達の消息が消えたのも確かだ――それにしてはあっさりしすぎている」 彼らは俗に言う暗殺者だった。 つまり合法的に抹殺できない都合の悪い存在を、非合法的に抹殺する者達である。 そして目標は彼らの眼前で命の灯火を消していた。 これだけ見れば、その役目は果たされたことになり、ならばさっさと逃走することが定石であろう。 しかし、彼らは足を止めていた。 なぜなら、あまりにも容易く目標が達成できてしまったため、熟練の暗殺者である彼らとてすぐには行動に移れなかったのだ。 『ひょっとして、これは罠ではないか』 そのような疑念が彼らには生じていた。 人は自分の認識している情報に自信が持てなくなった時、それを確認し補完しようとする。 ましてや、些細な認識の違いが命運を別けるような場合はその傾向は顕著である。 故に彼らは手にかけた者達の前で眼前で議論し合う羽目になっていた。 目の前の死体は本当にターゲットの物なのか? 偽物であるとすれば、その目的は何なのか? 実は単なる偶然で、この思考自体が無意味なのか? もしくはそう思わせて、自分たちをここに足止めするのが目的なのか? 考えれば考えるほど選択肢が広がり、尚のこと思考が迷い始める。 凄まじい前評判が尚のこと彼らの疑心を深めた。 「おい待て、少しおかしいぞ」 「何だ?」 唐突に人影の1人が声を上げた。 「ミリア・メーデルはこんなに胸が大きくなかったはずだ」 当然ながら、彼らはターゲットの情報は細かな部分まで調べ上げている。 食べ物の好き嫌いから、過去の経歴まで調べ上げ、当然ながらその身体的特徴などはいの一番に調べられている。 そして当然ながら、ミリアの胸が貧しいという事は周知の事実であった。 「豊胸出術でもしたのか?」 「いや、そんな情報はなかった。そもそも部屋を出る時までは胸はなかった。魔法薬を摂取したんじゃないのか?」 「しかし、三日前からずっとそんな様子はなかったぞ。対象は魔法は使えないらしいしな」 「遅効性の新薬じゃないのか? エリス博士が新しく開発した。本人も胸がないらしいし」 何というか、暗殺したターゲットの横で、そのターゲットの胸の大きさについて真剣に論議する暗殺者達の姿と言うのはいろんな意味で台無しである。 「………影武者か?」 「それはあり得ないな。会議室からここまで入れ替わるすきなどなかったはずだ。だが、薬をわざわざ遅効性にする意味もない」 積み重なる疑問と疑念がさらに彼らの判断を迷わせる。 「…………ともかく一度帰投するぞ」 しかし、仮にも彼らはプロである。 迷ったのも僅か数十秒で、即座にそう決断した。 「あー、ちょっといいか、あんたら?」 ここ数日で聞き慣れた声に彼らは振り向いた。 その心に飛来したのは共通して驚愕だったのは仕方ないだろう。 そもそも、彼らがここに来たとき光化学的、魔法的に彼らを除けばターゲットの二人以外確認していなかったのだから――― そして現在進行形で、彼ら以外の誰もその感知範囲に入っていなかった。 だから、その、ここ数日までは聞き慣れなかった声も、仲間の物だと思って無造作にその方向を振り向いても責められる事ではないだろう。 ましてや、死体のはずのターゲットが立っていて、ガチャガチャとベルトを直していれば一瞬思考が停止しても何ら不自然な事ではないだろう。 「いや、こういう事言えた立場じゃないと思うんだが、手を出す時はもう少し考えてくれないか? やっている最中ばっかり襲ってくるから、わざわざ誘き出すのにこんな手間がかかる」 相手が油断している時に行う奇襲の方は、使い古された手と言えばそうだが成功率が高いのは間違いない。 つまりは、寝ているときや、だらけている時、その手の行為の最中、もしくは終わった直後に相手の集中力が途切れた瞬間――― 彼らはその時を待っていた。 だから、当然ターゲット達が誰も居ない廊下で情緒に耽り絶頂を迎えた瞬間に攻撃したのだ。 多少の抵抗は覚悟したが、しかし必ず勝てる自信があったからこそ彼らは行動に移ったのだ。 「と言うか、あのな、その二つ名は止めてくれ。毎回襲われるたびに気合い入れられて、心臓をさされたり、首を断ち切られたり、頭を潰されたり、爆風で吹き飛ばされたり、生き埋めにされたりすると神経が持たないしな。大陸中回って月一回はそんな目にあうし―――仕事は全然減らないし、休暇は全く取れないし―――訴えても誰も聞いてくれないしな。この前なんか、わざわざ猫の国から大陸の端まで言ったら、船に乗っている最中に爆薬を積んだクルーザーに激突されて、海上数十メートルから海に叩き付けられたし―――最近、胃薬の量がまた増えた―――」 愚痴になりかけた言葉を断ち切ったのは、当然ながら薙ぎ払われたナイフだった。 「っ、絶死の刃か」 身体を仰け反らしながらシルスはそう呟いた。 刃が体に触れた瞬間、瞬時に周辺の細胞を浸食、破壊して最後には全身の細胞を破壊する魔法をかけられた刃だ。 文字通り必殺の武器だが、刃を抜いてから数秒しか効果がない使い捨ての物で普通の戦闘で使える物ではない。 しかし、一対一の戦いや暗殺には打って付けの道具である。 触れられた瞬間、治癒する暇もなく全身を犯し命を奪う刃から身を守る方法は多くない。 完全に回避しきるか、触れられた瞬間にその部分を切除するか、もしくはそれこそ非常識な程の魔法抵抗力で無効化するかぐらいしか手はない。 だからシルスは刃と供に薙ぎ払われた腕を掴み取り、そこを支えに体制を整えると相手の鳩尾に手加減なしの蹴りを叩き込んだ。 いくらマダラと言えども、虎の一撃である。 急所に叩き込まれれば、いかに頑強な種族であってもしばらく行動不能になるはずだ。 手応えはあった。 まるで鉄板を叩いたかのような固い手応えが――― 「やっぱり効かないか―――」 普通の生命体なら十分効果を期待できたであろう攻撃に、しかし黒いコートの人影は全く痛痒を感じた様子もなくすぐに追撃してくる。 振り下ろされる刃を避けようとすれば、左右から他の人影がナイフを突き出し逃げ道を塞ぐ。 必然的に後に下がるしかなくなるが、全面にいた人影が即座に距離を詰めてくる。 シルスは真上に跳躍すると、そのまま回転し足裏で天井を蹴って右の壁に突っ込む。 再び回転し、壁を蹴ると眼前に見えるのは振り上げられる拳だった。 握り拳が直撃する寸前、しかしこちらからも相手の拳に向かって手を突き出した。 真っ正面から相手の拳を受ける事はせず、腕を弾いて拳の軌道を変えて同時にその反発力を利用して体制を整え綺麗に着地する。 真横を掠めた拳は勢い余って壁に激突して粉砕した。 大理石の一枚下は戦車砲の直撃にも耐えうる積層装甲が張り巡らせてあるのだが、叩き付けられた拳は大理石ごとそれを粉砕している。 たとえ虎と言えども、この威力のパンチを急所に食らったら即死である。 いや、腕や足に食らっただけでもその部分が千切れ飛んでしまうだろう。 着地した次の刹那、真横から突き出されたナイフを回避し、シルスは床すれすれを這うように疾駆する。 その背後にぴったりと人影達は張り付いてきた。 体を捻ると同時に相手を蹴り付け、その反動を利用して距離を取ろうとしたが逆に蹴り付けた足を掴まれてしまう。 足首を握り潰される寸前、ベルトに仕込んでおいた短剣を投擲し相手の顔を狙った。 正確に眼球と口を狙った刃は片腕で弾かれたが、一瞬力がゆるんだ瞬間に足首を抜き取ることには成功した。 「GARMか」 舌打ちと供に呟かれたその言葉に、さらに攻撃を使用とした人影達の動きが止まる。 「俺とミリアを狙ってきたって事は、『腐肉喰らい』の五局だな」 「……………なぜ知っている?」 戦闘中に暗殺対象に質問するなど暗殺者としては三流であるが、聞かずにはいられなかった。 GARM、 それは絹糸に縛られた瀕死の魔狼が産み落とした配下たる魔犬の名だ。 それが、生まれてしまった理由はひとえにイヌの国の貧しさと乏しさが原因だ。 イヌの国の広大な大地はしかしやせ細り、自国民の半分の腹を満たす事も叶わない。 また、他国に輸出できるような資源もほとんどない。 それでも猫のように落ち物の特許や、兎のように寒冷地帯でさえ自らの都合の良いように改造できる魔法でもあったらまだ違ったかもしれない。 だが、イヌにはそんな物がなかった。 他国に誇るべき産業がないイヌの国は、外貨を獲得する手段が乏しく大陸最大の軍事力を持つ大国でありながら、国力は貧弱なのだ。 食料の供給を他国に頼っている時点で、もはや命綱を他人に握られているのも同然なのである。 唯一イヌの国が大陸最大の鉱山を保有する真銀も、食料や医薬品の輸出を盾にされれば安く売るしかなく、そのためにいつまで経っても経済三流の国から脱却できない。 そして、その貧しさ乏しさが原因で他国に食い物にされ続けた。 富も資源も技術も、腹を満たす食料さえもないイヌの国は、他国から原料を輸入してそれを加工して輸出する中間貿易で身を立てている。 しかし、その加工技術に使う機械や魔法装置はその加工品の買い手である猫の国から馬鹿高い値段で買った物であり、その差を差し引けば利益は極僅かだ。 また、食料大国である虎の国では品質の悪い農作物を、通常の農作物と同じような値段でイヌの国に売りつけたりもしている。 今現在イヌの国の食糧事情を支えているのは間違いなく虎の国であり、立場の弱いイヌの国は例えそれが品質の悪い物であろうとも、こっちの言い値で買うしかないのだ。 この白虎総合総社も下請けの安価な労働力として大量のイヌの労働者を雇っているし、イヌの軍は最大手の取引先の一つだ。 弱みに付け込まれ、悪い物を高く買わされ、良い物を安く売らされ続ければ永遠に貧しいのは当然だ。 しかし、もっともイヌの国の重荷になっているのは数千年前に結ばれた『絹糸の盟約』だろう。 かつて世界に大戦を巻き起こしたイヌの国が、二度と同じ事を繰り返さぬようにと幾つもの国が連合を組んで結んだその盟約は未だに有効であり、もしもイヌが盟約を締結している国のどれか一つにでも宣戦布告をしよう物なら、自動的に盟約に参加している他の全ての国がイヌの国と敵対することになるその盟約は未だに有効なのだ。 そうなれば、いくら世界最大の軍事国家を誇るイヌだろうと敗北は必死である。 だからイヌの国は豊かな資源や土地を手に入れるための侵略戦争を仕掛けることも出来ないのだ。 これだけ聞くと、完全に手詰まりのように聞こえるが実際は違う。 絹糸が適用されるためには、誰が見ても明らかな侵略行為が必要なのだ。 逆に言えば、侵略行為がはっきりしない、もしくは公にならなければ出来ることは少なくない。 故に設立された闇の組織、存在は認識されてもそれを証明されることは出来ぬ魔犬達、 魔犬の数は全部で六匹、 工作二局――第一局ケルベロスと第二局オルトロス 自国の不利益になるべき施設人物を破壊抹消する暴犬達 情報二局――第三局ケルビムと第四局ショロトル 他国の情報を盗みかすめ取る貪欲な盗犬達 この四匹だけでも、もしも仮にその存在が公になれば、イヌ達は窮地に立たされることだろう。 しかし、残った二匹はさらに別格だ。 はじめの四匹を構成するのは、あくまで人間である。 だが、残り二匹は違う。 暗殺二局――五局ティンダロスと六局アヌビス 敵どころか味方の命すら喰らう凶悪なる狂犬達 彼らはその過酷な任務に耐えうるために、自らが人間であることさえ捨て去っている。 あらゆる外法と邪法を駆使してその肉体を全く別のものに変質させているのだ。 常識や倫理など彼らに通じない。 ベースはイヌだが、筋力、耐久力、魔力、各種毒物や魔法に対する耐性のそのどれもが既存の種族の基本能力値を大きく上回っている。 虎や狼ですら容易く葬る彼らの力はそれこそ人外の領域である。 だが、同時に彼らの存在はイヌの国にとっての最重要機密であり、もしも、その存在が公にされたならば窮地に立たされるどころか、滅ぼされても文句は言えない。 だからこその、暗殺者達の驚きなのだ。 自分達の存在を知っていることは、別段驚愕すべき事ではない。 いくら痕跡を抹消しようとも、完全に隠蔽することなど出来はしないのだ。 しかし、いくら何でも、自分達の所属する組織の名前知っている事などあり得ない。 構成員を除けばその忌み名は、ほんの一握りの者達しか知らないはずなのだ。 そして何より、自分達はその中でも特に特殊な部署なのだ。 仮に自分達が返り討ちに遭いその死体を調べられたとしても、そこから自分達の部署にたどり着くことはおろか、結びつけることすら出来ないだろう。 よほど内情に詳しくなければ―――― 「こっちにも、その手の機関はあってな。ついでに言うと凄腕の尋問係が居るんでね。色々と詳しいことは知っている。あんたらが、只のイヌじゃないことも―――いや、全六局の中でも特に異質な、腐肉貪る背徳者達、正式名称『対外高官長期監視工作班』って事もな」 「…………………」 人影の1人ではなくGARMの一員が無言シルスに突進する。 少なくとも眼前の虎の少年は、自分達にとって存在してならぬものと判断したのだろう。 手加減なしの一撃は虎の動体視力を持ってしても、反応できない物だった。 ナイフの絶死の刃先がシルスの胸に吸い込まれるように迫る。 ガチィンッ!! 「………っ!?」 「そっちも人間止めてるようだが、こっちもまともじゃないんでね」 防御回避不可能のはずの刃が、しかしシルスの五指にしっかり掴まれている。 「なぜ生きているっ!?」 触れた部分から細胞が壊死し、即座に死に至らしめる猛毒が宿っているというのにシルスは平然としている。 その事実がナイフを突き立てた暗殺者に叫ばせていた。 「生憎、大抵の毒には耐性があるんでな。そう簡単には死なないさ」 涼やかな音と供に、猛毒の刃はガラスのように握り潰される。 呆然とした様子のGARMの一員に振り上げられたシルスの拳が叩き付けられる。 一撃目の攻撃は防がれたはずなのに、二撃目の攻撃は相手の胴体を容易く貫通した。 「がぁっ―――」 絶息したような叫びと供に口から撒き散らされる血反吐だが、それが服に付く前にシルスはその場を離れている。 「どうでもいいが、いい加減加勢してくれないか? さすがにこの人数はつらいんだが―――」 「弱音を吐くのが早いね。どうせ死なないんだから、やって見たら?」 即座に取り囲まれたシルスが言葉を向けた相手は、未だに床に放置されたミリアの死体だった。 そしてその場に居たGARM局員の誰もが、返事が返るとは思っていなかった。 完全に生体反応が消失している肉体が、言葉を発することなどあり得ないのだから――― そしてその死体が何事もなかったように立ち上がれば、もはや現実の光景とは言えない。 さらに奇妙なことに、その口から出た声はミリアの声ではなかった。 男のような女のような、幼いような年老いたような、どんな声でもあるようで、どんな声でもないような声音である。 「死ななくても、死ぬほど痛いだろ」 「嫌なら痛覚を消せば良いんだよ。わざわざ受ける必要はない―――」 言葉の途中で走った刃がミリアの首と胴体を分離させる。 くるくると回転しながら宙を飛ぶ頭に一瞬遅れて、首の切断面から血液は噴水のように噴き出す。 「あーあ、君がモタモタしてるから死んじゃったじゃないか―――」 「死人がそんな風に口を利くとは思えないんだが―――」 ごろごろと床を転がりながら抗議する生首に半眼を向ける少年――― そんな会話をする二人の姿は本人達を殺しに来た暗殺者達にどう映ったことだろう。 少なくとも心落ち着く光景でないことは確かだ。 「落ち着け、これは幻術だっ!! 混乱すれば尚つけ込まれるぞっ!!」 「………俺もそう思いたいんだが、これは現実だ」 皆を落ち着けようとするその叫びに、シルスは多量の同情を込めた視線を向けながらそう忠告する。 「あんたらも運が悪い。よりにもよってあいつが休暇中の時にここに来るなんて、いつもなら、普通に死ねたのにな」 普段のミリアの周りには表向きだけでもこの地に駐屯している機巧軍は元より、直属の護衛団まで居る。 しかし、それだけでは完璧にはほど遠い。 真っ正面から向かってくる敵に対しては強いが、暗殺などの搦め手で来られると脆い物だ。 だから、裏の護衛として暗部が付いているし、仮にそれを突破したとしてもその後には、魔王たる奴隷が控えている。 だが、暗部もセリスも居ない時によりによって、ミリアの影武者を襲撃するとはあまりにも運が悪すぎて、逆に同情してしまう。 少なくとも、暗部やセリスにやられても情報を引き出されて死ぬだけで済む。 「何か僕より敵の方の心配をしているようなんだけど、気のせい?」 特に気分を害した様子もなく聞いてくる生首に、シルスは大きく嘆息した。 「気のせいじゃないな。と言うかお前が死ぬような状況になったら、俺の方が持たんと思うぞ」 「そうだね。あの魔族以外に、僕を滅ぼせる奴はそうはいないと思うけど―――まあいいや、さっさと終わらせよう」 そう呟いた生首がぴょんと跳ねた。 冗談でも何でもなく跳ねたのだ。 足も胴体すら存在しない身体は、しかしGARMの1人に向かって跳んだ。 それを見て悲鳴一つ上げずに、頭部を左右真っ二つにした手腕は見事と言っても過言ではない。 切断された頭蓋から血と脳漿が飛び散り、それが切断した相手に降りかかる。 しかし次の瞬間、血潮を受けた当の本人が苦しげに膝を付いた。 「あ、ぎ、げぇ、、あが、、があああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 まるで魂を削り取られるような痛切な絶叫が廊下の中に響く。 そして、その場に響く音はそれだけではない。 肉が千切れ骨が砕ける音が血潮を浴びた者の体から響く。 黒いコートが破け、その中からピンク色の肉と白い骨などがそこから飛び出してくる。 その場にいる誰も声を上げられない。 たとえ眼前で仲間がどれだけ凄惨に死んだとしても、冷静に任務を達成できるように訓練された暗殺者達でさえ、そのあまりの異常な事態に動きが止まっている。 やがて、絶叫が鳴りやみ肉体の蠢きが止まった。 「よし、再生完了」 そう呟いたのは今の今まで断末魔の悲鳴を上げていた人物に他ならなかった。 そしてその声は先ほどミリアの口から聞こえた物と同一である。 「………………終わったのか?」 「うん、もうこの体は完全に僕の物だよ」 気分の悪そうなシルスの問いにそう言いつつ、その人物は仮面を取った。 仮面の下から出てきたのは美しい顔だった。 この世の物とは思えぬ白髪は、それに反するかのような赤銅色の肌に良くさえる。 瞳の色は右目が瑠璃色で左目は銀色、顔の輪郭は何処か中性的な印象を抱かせ性別を判別するのは困難であった。 そして、その服装も変化していた。 黒かったはずのコートが、いつの間にかゆったりしたローブのように変化してその人物の体を包んでいる。 そしてその美しい人物は、尾や鱗を持たないヒトの姿をしていた。 しかし、美形と言っても何ら誇張はない顔は見る物に違和感を覚えさせる。 まるで、美しい顔のパーツを組み合わせて作り出したような不自然さが感じられるのだ。 「さてと、もう全部食べても良い?」 「……………好きにしろ」 「それじゃあ、好きにするよ」 瞬間的に白髪のヒトの足下から伸びた髪に反応できたのは四人だけだった。 残りの者達は伸びて薙がれた髪によって首を切断されて、さっきとは逆に自分達が血を吹き出すことになる。 その動きによってそれまで惚けていた残りの暗殺者達が再起動し、再び二人に襲いかかる。 右からナイフを突き出した暗殺者は、何の前触れもなく頭が吹き飛び絶命した。 左から超高電圧の球体を放とうとしていた相手は、こちらも何の前触れもなく高電圧球ごと上半身が消滅する。 さらに真ん中から拳を打ち込んできた者は、真っ正面から打ち込まれ返された拳によって腕が縦に裂かれ、そのまま肩口に到達し、その後胴体に潜り込んだ腕によって心臓を握り潰された。 最後に真ん中の背後からナイフを投擲した者は、投擲された刃物が縦に真っ二つにされたが仮面が切り裂かれるだけで済んだ。 「あらら、失敗したね。意外と勘がいいみたい」 戦闘態勢のGARを瞬殺しながら、そのヒトは特にどうと言うこともないように微笑む。 「―――お前達は一体何だ?」 「君と同じ化け物だよ。もっとも僕は、君らと違って生来の化け物だけどね」 おそらく無意識のうちに出た言葉だろう生き残ったGARMの一言に、ヒトは表情を変えないまま答えた。 「ああ、だけど君達の方が凄いかな。元の姿を捨てて、そんな風になれるならたいしたものだと思うよ」 切り裂かれた仮面は床に落ちてもはや顔を隠す役目を果たしていない。 「『腐肉貪る裏切り者達』、別の種族に完全に紛れ込むために、自分達の種族さえ捨てる覚悟は僕には分かんないけどね」 仮面の下から現れたのは、虎の男だった。 しかし、その中身はその姿と同一ではない。 この世界には多種多様な種族が存在するため、他国に対する密偵や間諜は、他の種族にとってはひどく難しい。 幾つかの例外はあるが種族単位で国家を形成しているため、国の中枢に他種族が入り込むのは困難である。 逆に言えば、姿さえ同じならばそれなりの手間暇をかけることでどうとでもなるということだ。 だから、誰かが考えた。 元のイヌの体から人格や記憶を抽出し、他種族の体にそれを移植できれば諜報活動がやりやすくなるはずだと―――― ノウハウはあった。 そもそも、GARM自体が複数の個体の魂を抽出し一つの個体に注入して作成すると言う時点で、魂の注入抽出は成功しているのだ。 後はそれを改良すればいい。 無論、山のような失敗とそれを上回る犠牲はあっただろうが、そこで躊躇するよう者ならば、最初からGARMなど作らないだろう。 そして何より副次的効果として、虎や狼をベースにした場合イヌをベースにするより遙かに強い個体を作ることが出来るのだ。 シルス達の目の前にいるのは、自分がイヌであることさえ捨ててしまい人外に成り果てた元人間であった。 「……………貴様らに何がわかる」 自分達が秘密にしている全てのことを見抜かれてGARMの生き残りは、絞り出すようにそう呟いた。 もはや、理解しているのだろう。 シルス達を倒すことも、ここから逃げることも叶わないということを――― だから、言葉を紡ぐ。 今まで感情を押し殺し、耐えてきた物を吐き出すかのように――― 「俺がこの体を自分で望んだと思うかっ!? 野良だった子供の俺は、あいつらに無理矢理体を弄くり回されたんだっ!!」 「…………………」 GARMの素体となるのはそのほとんどが『野良』と呼ばれる浮浪児や浮浪者達だ。 例え居なくなっても、騒ぎにならず国益に損失をもたらさない社会的弱者達である。 いくら犠牲にしても大した影響がないという理由で彼らは人体実験の材料にされる。 「そのあと、無理矢理この仕事につけられた」 彼らに選択権などありはしない。 弄くり回された肉体は定期的に処置を繰り返さなければ、すぐに破綻してしまうためどこにも逃げることが出来ないのだ。 「俺と同じことをされた奴らは、発狂したり体にがたがきたりして処分された。そうでなければ任務に失敗して死ぬかだ」 そもそもが、個体の容量を超えるだけの力を詰め込んでいるのだから、処置を繰り返してもいつか破綻すため、本当に天寿を全うできるような個体は稀だ。 結局彼らは、まともに死ぬことなど出来はしないのだ。 「お前らに俺達の気持ちが――――」 吐露された言葉はしかし最後まで続くことはなかった。 顎から上が頭部から引き千切られてしまえば、当然であろうが――― 「つまんないな。本当に」 引き千切った頭部を白髪のヒトは退屈そうに手で弄んだ。 「化け物なら化け物らしく、心も化け物になってしまえばいいのに、何を化け物らしくない事を言っているんだか――――」 白髪のヒトの口が耳まで裂けて、手中で弄んでいた頭部に喰らい付いた。 骨が砕け、肉が引き千切られる咀嚼音が廊下に響く。 「ひょっとして、共感とかした?」 口元から垂れ落ちる血を拭いながら、そのヒトは面白そうにシルスに視線を向けた。 「………………いや」 ヒトの言葉に、シルスは数瞬迷ったようだが結局否定した。 「あはは、それでこそ僕の半身だよ。君は立派な化け物だ。僕が保証するよ」 「全然うれしくないな」 とても楽しそうにヒトとは違い、シルスの方は嫌そうに嘆息する。 シルスの様子など欠片も気に掛けず、上機嫌にそう問いかける。 「さて、ここで問題です。僕はさっきの三人をどうやって片付けたでしょうか?」 シルスは嫌々ながらも答える。 「……………右のは只の衝撃波で、真ん中は重力制御……………左のは原子分解か?」 「残念、最後のは空間圧砕だよ。もうちょっと集中しないとね。今の君なら感知できたはずなんだけどな。ま、相手が相手だし、本気にはなれないかな」 ヒトの足下から伸びた影のような漆黒が床から浮き上がり、GARMの死体を包み込む。 「んー、今の所イヌには特に目立った動きはないね。いつも通りミリアの暗殺だよ」 そう言って白髪のヒトはシルスの腕に軽く触れた。 その瞬間シルスの思考に大量の情報が流れ込んでくる。 「…………………イヌの方は相変わらず物騒だな」 シルスが気持ち悪さを紛らわせるかのように額を揉む。 自分が得た以外の情報が外部から入ってくる感覚は、いつまで経っても慣れることがない。 「そりゃあそうさ、この領地のテクノロジーは言わば金の卵を産む鶏だよ。万年金穴のイヌには喉から手が出るほど欲しいものだろうね」 GARMの死体を飲み込んだ漆黒が縮小し、そのままヒトの影に吸い込まれていくと後には何も残らなかった。 「まあ、そのお陰でこっちもあっちの情報が分かりやすくて助かるよ。僕の食事にも困らないし、でもあっちの方もなかなか努力してるね。さっきの壁から出てきた能力、あれは三次元を減衰して二次元にしてるみたいだよ」 三次元上の物体から、次元を一つ取り除くと物体は立体ではなく平面になる。 高さという要素が排除され、縦と横の世界に置かれる物体は厚さが全くない。 そのため事実上、扉や窓の隙間は言うに及ばず、その気になれば壁の原子間の隙間から染み出すことも可能なのだ。 ほぼ全ての防壁や扉を無意味にしてしまうその能力は侵入術としては最上の物だろう。 しかし、この城の警備を突破した所で彼らのターゲットである当の本人は、現在休暇中でここには居ないのだ。 そして、その影武者である目の前のヒトに餌食にされる彼らは気の毒としか言いようがない。 只殺されるならともかく、化け物の内部で永遠に苦しみながら飼い殺されるのは想像を絶する地獄であろう。 そんなことを考えていると突然白髪のヒトが、シルスの腕に自分の腕を絡めて来た。 「何のつもりだ? 零(ぜろ)」 「勿論さっきの、続きだよ。今度は本当に誰も居ないしね。たっぷり出来るよ」 零と呼ばれた白髪のヒトは当然のようにそう言ったが、シルスの方はややたじろぎながら後ずさる。 「いやあの―――そのな、明日はヘビの方まで行かなくちゃいけないだろ。俺も疲れてるし―――」 ゆったりとした動作で、しかし渾身の力で絡められた腕を引き離そうとするがびくともしない。 「大丈夫だよ。体力なら無限だから―――」 「体力は無限でも、精神力は残り僅かなんだ。第一、昨日も散々相手してやっただろう」 両者とも笑顔だが、シルスの表情は盛大に引きつっている。 「昨日は昨日だよ。それとも、みんなに色々ばらして欲しいの?」 「…………せめてベットでさせてくれ」 伝家の宝刀である零の言葉に、哀愁漂う表情でシルスが返せたのはその一言だけだった。 「了解」 ご機嫌な零に引っ張られながら、死刑台に登る死刑囚のような足取りでその後を付いていく。 (一時間でも良いから、眠りたいな) おそらく叶わぬ願いと分かっていながらそう望まずにはいられない。 「そんな顔しないでよ。巨乳は嫌いじゃないでしょう」 「時と場合による。今は性欲より睡眠欲だ」 服越しにに感じる胸の感触にも、シルスは心底湯鬱そうな表情でそう嘆息する。 「うわ、何か男として色々終わりなこと言っている」 「男として終わっても良いから、ともかく休ませてくれ」 かなり深刻な発言に零が呆れを混ぜ込んだ苦笑を返す。 「そんなこと言わないでよ。ほら、少なくともミリアとは比べものにならないぐらいあるんだから」 「……………本人の前では絶対言うなよ」 少し前、ミリアの姿をした零がオリジナルとは違い豊満なその部分を指さして『三倍でやっと胸だね』などと発言して、セリスがそれに対し零の胸を掴んで『それは間違いだよ。例えこの三分の一でも、ご主人様の胸には大きすぎる』などと言ってしまったため、ミリアが逆上したのだ。 よりにもよって、10日ぐらい無理やり徹夜させて色々テンパっているミリアが、エリスの開発した新型銃器のお披露目を聞いている中で、そんなことを言ったため、その重火器がその場で使用されることになった。 何かが吹っ切れた清々しい笑顔で無言のまま引き金を引く幼なじみの姿は、ダンジョンの奥にいるガーディアンですら裸足で逃げ出しそうな物だった。 追記するならば、その背後でミリアと同じように全ての感情が抜け落ちたような表情で言葉一つなく黙々と銃弾を補給するエリスの姿も十分恐ろしかった。 この体になってからミリアの八つ当たりやら何やらも、苛烈になった気がする。 普通には死なない体とはいえ、痛みは通常通りあるので止めて欲しいのだが訴えたところで止むわけではない。 「何、まるで自分の人生に絶望して飛び降り自殺する寸前のような表情をして―――」 「そこまで俺のことを理解しているなら、少しは大人しくしてくれ。その自殺の原因の一部は間違いなくお前なんだ」 実に的を射た零の発言にシルスは乾いた笑みで応えるが、それに返されたのは無邪気な笑顔だ。 「大人しくするわけないじゃん」 「……………………そうだよな」 先ほどよりもさらに疲労の増した声でシルスは納得した。 予想していた答えだが、面と向かって言われると落胆も一押しである。 今頃自分の幼なじみは、悠々と休暇を満喫していることだろう。 それに比べて自分は、年中無休馬車馬のように働かされている。 (また、薬の量が増えそうだな) この体になってからも、なぜか完治することのなかった持病の胃炎は最近さらに酷くなっている。 そして、その原因の一端は間違いなく自分の隣にいるヒト――― 否、ヒトの姿をした化け物にあるのは間違いない。 (まあ、仕方ないか―――) 終わってしまったことを、いちいち悔やんでいてもしょうがない。 と言うか、いちいち悔やんでいたら彼の魂はとうの昔に摩耗している。 例えこの身が化け物に成り果てても、それは大した問題ではない。 今更ながら自分はどこかおかしいのだと思う。 すぐ近くに異世界の魔王が居ようとも、自分自身化け物になろうが何となく溜息一つで受け入れてしまうのは心が広いというより、神経の幾つかが切れているとしか思えない。 もっともそのおかげで、今の今までミリアの折檻やらその他諸々の物に耐えてこれたのだから幸運なのかもしれない。 「さあ、付いたよ」 「………………」 零の言葉にシルスは嘆息する。 そしていくら受け入れられても、疲労感は欠片も抜けていないことに軽く絶望した。
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.------------------------------ 第五話「朝美奴隷化計画(後編)」 … …… ……… 「………」 俺は前と後ろの毛を剃られた朝美を凝視していた。うーん、スゴクイイ景色だ。記念に一枚撮っておくか。 俺は耳バンを取り、チビたちを引き出しに放り込んでデジタルカメラを取り出した。 カシャ… 朝美「えっ?」 まさか撮られるとは思っていなかったらしく、朝美はこちらを見ると事態を理解し、急に暴れだした。 朝美「ああぁーっ、嫌あぁぁぁーーーっ!!」 俺は朝美にやさしく語りかけた。 「いまさら恥ずかしがることは無いだろう?ホラ、こんな写真も、すでにあるんだよ?」 俺は盗撮で撮った朝美のデータをデジカメで見せた。 朝美「ああ…こんなとこまで…」 「ごめんね、だって君があんまりキレイでかわいいものだから、どうしても俺のものにしたくなったんだ。こんな感情は初めてだよ。」 そう、こんな感情は初めてだ。 …俺、恋しちゃったのかな? 朝美「え…キレイ?かわいい?」 朝美はその言葉に反応した。カッコイイといわれても、直接キレイと言われたことなど、とくにかわいいと言われたことなど、親友(後に名前は千秋と発覚)からすらないのだろうか。だが、俺はかまわず続ける。 「ふふふ、君は俺のものになるしかないってこと、分かってくれたかな?」 朝美「え…?」 「さてと、あとは余った牛乳浣腸を全部注ぎ込もうかな?」 朝美「ひいっ!」 「それとも俺にケツを貫かれるの、どっちが先がいい?」 どっちが先がいい?…つまり、いずれにしろ両方ともされるということだ。 朝美は考えた。 そして俺は朝美のスカートをはさみで切り落としつつ、彼女の考えをかたづけラッカーで隠したサトリヘルメットを使って読んだ。 自分の体が魅力的だから、彼は私をさらったのだ。 その体を目の前に、いつまでも襲われるでも無く苦しむさまを見られているだけなんて、屈辱の極みだ。 朝美は意を決した。 朝美「その……を…ください…」 「ん?何だ?」 朝美「あなたの…その…モノで…私を…貫いてください……っ!」 遂に言わせた。朝美に『襲ってください』と言わせたのだ。 俺の心が満たされてゆく。だが、俺はまだ一歩、満足していなかった。 だから…もっと苦しめてやろうと… …そうだ! 俺の頭でとんでもない考えが頭をよぎった。 俺は『テキオー灯』を取り出すとぐいっと思いっきり朝美の尻肉を広げ、ケツの穴にテキオー灯を押し当て、腸壁に照射した。これなら肉棒を突っ込もうが内容量以上に液体を流し込んでも大丈夫なはずだ。多分。 朝美「えっ…?何…」 テキオー灯に朝美が驚いている隙に今度はすばやく朝美の尻にイリルガートルをセットし、黍団子入り牛乳を遠慮なく流し込む。 朝美「え?ああああああっ! 酷いっ! ちゃんと…っ! 言ったのに…っ!」 俺はそんな朝美を見てニヤついた笑みを浮かべ、彼女の目の前で自分の肉棒をいじり始める。 朝美「う…ううう……うわああぁぁぁぁんっ!!」 !!? なんと、朝美は大声を上げて泣き出してしまった。 「オイオイ、どうしたんだよ?」 大声を上げて無く彼女を見ること…それが俺の心を満たす、最後のトリガーだと思っていた。 そして俺の心は確かに満たされた。が、同時に罪悪感がわき上がってきた。……やっぱり俺は気の小さい人間だったのか。 俺は秘裂に指を入れ、いじる。 ずぶっ… 朝美「ああっ…」 最初よりも幾分楽に、そして最初よりも奥まで入った。さっきは突っ込むことが目的じゃなかったから気づかなかった。 「どうした、何故泣く?」 このとき、俺はサトリヘルメットを使うことを忘れていた。楽しむために、無差別に心を読む機能を含め改良していたのだ。 …泣く原因を作ったのは俺なのに、よくこんな台詞がいけしゃあしゃあと出てきたものだ。 朝美は涙ながらに叫んだ。 朝美「こんな屈辱を受けるのは生まれて初めてなんだよ! チクショウ…もう殺してくれよぉっ!! ……うああぁぁ…」 びっくりした。じゃあ、おれはどうすればいいんだ? ……バカか俺は。俺は力ずくで彼女をさらったんだぞ。俺は好きなようにしてればいいんだ。 俺はイリルガートルを流し込みながら、朝美の秘部に俺のモノをあてがった。 「…イクぞ、朝美。」 朝美「え…? あ…っ…」 そのときの朝美の顔に恐れと驚きと共にほんの少しの喜びが混じっていたことを、俺は見逃さなかった。 …このマゾが。 ずぬっ… 朝美「あ…あああっ…!」 「くううっ…」 ずず…ず… 俺のモノが少しずつ彼女の中に埋没していく。 や…やばい…気持ちいい…つーかよすぎる… さっき自分でいじってたし…それに俺ってこーゆーの初めてだし… やばいぞ俺!突っ込んだとたん出しちまうのか!? がんばれ俺!負けなる俺! と、そこで一度進入が止まり、何かを突き破ったような感覚があった。 朝美「いっ!」 「…えーと…」 朝美の秘部から血が流れた。 これは…よーするにこのコは初めてだったわけで…今、オンナにしてやったわけでして… …生まれてきたよかった!! ……うん、突然のことでなんて言ったらいいか分からない。こんなコメントでいいか。…びっくりして出ちまうことが無くてよかった。 などとおバカなことを考えていると、 朝美「ああ~~~~っ!」 朝美の気持ちよさそうな声が聞こえた。 …はい?俺より早く…イッちゃったと…? だってまだ一度奥まで突っ込んだだけですよ? 俺、今日が初めてですよ? しかも朝美は腹に牛乳流し込んだままですよ? 苦しそうですよ? 現在進行形ですよ? …もしかして… 俺は小心者モードから鬼畜モードへ戻る。 「朝美…お前、何でこんなに早いんだ?」 朝美「あ…え…?」 朝美はうっとりとした目で俺を見る。 「朝美…お前、やっぱりマゾだな?」 俺は朝美の目を見て言ってやった。 「叩かれて感じるだけじゃ飽き足らず、浣腸を流し込まれる感覚にも感じてたな?痛いのと苦しいので感じてたんだな?」 朝美「え…いや…そんなこと…」 「じゃあコレは何なんだよ? 乳首とがらせて俺より早くイキやがって!」 俺は彼女の胸を思いっきり揉み、乳首をつまんで引っ張る。 朝美「あああっ…」 「どうだ! 気持ちいいか!?」 朝美「ど…どうして…?」 「気持ちいいんだな?」 俺が再び問うと、朝美は涙を浮かべてつぶやく。 朝美「うう…そんな…なんで…」 「お前がマゾだからだろう…?」 朝美「…私…そうなの…?」 「そうに決まってるだろう! 見ろ!ケツ叩かれて浣腸流し込まれ無理矢理犯されて乳首とクリを起たせてる奴がマゾ以外の何だってんだよ、朝美お嬢様よお!!」 朝美「嫌…ぁぁ…グス…」 「嫌かい? じゃあこのクリをしばらくむき出しにしておいてやろう。」 俺は朝美のクリの根元に愛液を塗ると、カチンカチンライトの光を浴びせた。これで五分間の間、この愛液はカチンカチンに固まってクリをむき出しにしておいてくれるはずだ。 朝美「ああぁぁぁぁ、アタシの体が…」 「こんな体は嫌かい? 俺はそんな朝美が大好きだがね。」 朝美「え…?」 …ん? 反応した。そういやさっきかわいいって言ったときも反応してたな。 朝美「私のことが…好きなの…?」 「好きだよ。」 俺は即答する。 朝美「その…さっきの…」 「なんだい?」 朝美「さっきの、かわいい…って…本当ですか…?」 やっぱりこの辺の会話に免疫が無いようだ。ま、俺は嘘は言ってないし。 「本当だよ。朝美は俺の知る限り一番きれいでかわいくて魅力的な女性だ。その言葉に嘘は無い。」 …だからこそ、いじめて見たいとも思うんだがね。 朝美「じゃあ…なんで、ひどいことするんですか…?」 「ひどいことって…こういう事かい?」 俺は朝美の腹を押す。なお、ゆっくりとだが現在進行形で牛乳を流し込んでいる。 朝美「んあああっ! ぎぇえええぇ!!」 俺は手を離し、朝美にささやく。 「んー、何でかな?君を大切にしたいと思うと同時に、それと同じくらい君をひどい目にあわせたいと思うんだ。…もっとも、誰かに君の痴態を見せるのは嫌だけどね。」 牛乳が空になると、イリルガートルを引っこ抜き、前から引っこ抜いた俺のモノをアナルにあてがう。 「じゃあ、いくよ。」 朝美「あ…あああ…」 ずぶ… 朝美「うあぁぁーーーーんっ!!」 朝美は歓喜に咽び泣いているようだ。だが、俺は責めをやめない。 朝美「あっ!あっ!あんっ!!」 「イイかい?」 朝美「イイッ!すごくイイッ! 気持ちイイッ!」 …やけに従順だな…サトリヘルメットを使ってみたが…やはり裏があるわけではないようだ。 そうか!きび団子浣腸が吸収されて効いてきてるんだ! あ、コレも使おう。危うく使い忘れるところだった。 俺は予め用意していた『ヤメラレン』(威力は低く改良してある)を朝美の口に放り込んだ。 朝美「あっ…なにを…」 「いいから飲め!」 俺が命令すると、ゴクリという音が聞こえた。 「…フフッ…これで朝美ちゃんは完全に変態になったね。」 朝美「へ…変態?私…」 「オラッ!」 俺は腰を突き上げ、朝美のケツの中に射精した。 朝美「んああぁぁぁっ!」 朝美はまたイったようだ。引く抜くと、 ブバァーーーーッ!ブリューーーッ!!…ブリ…ブリブリッ!…ブリブリブリブリブリ…… 朝美「ハァ……ハァ……ハァ……」 ケツ穴から、吸収されなかった牛乳と精液を下品な音をさせて垂れ流しながら朝美は気を失った。 俺はそんな朝美を尻目に四次元ポケットから『刷り込み卵』を取り出し、『グレードアップ液』をかけた。それから倒れた朝美を記念に一枚撮って(タイトルは『強気お嬢様排便』だな)、そして… 「朝美、コレに入れ。」 朝美「え…? それは…」 「いいから入れ。」 俺が強めに言うと、朝美はおびえた表情を浮かべながら卵に入る。…が、腕を伸ばし、俺の腕をつかむ。 朝美「…こ…怖いです…」 「何を恐れる? 俺が入れといっているんだ。」 朝美「私、どうなるんですか?」 「俺の言う事が聞けないのか?」 朝美「ひっ…ごめんなさいっ…」 キツく言うと、きび団子の効果か言う事を聞いた。人間には自我とかがある分、効き辛いのかな? ま、これくらいのほうがかわいくていいか。恥ずかしさぐらい無いといじめる時つまらないし。 朝美が『刷り込み卵』に完全に入ると、俺は卵を閉める。あと十五分で雌奴隷朝美の完成だ。 現在の時間は…8時22分。ま、さっさと切り上げれば入浴ぐらい出来るだろう。出来なければ時門で時間を延ばしてあげるなり俺が風呂で洗ってやるなりしてやるか。 俺は暇になった時間を使い、『地球破壊爆弾』を『スモールライト』で小さくし、衝撃吸収素材を詰めた小さな金庫に入れ、『ゴマロック』で鍵をかける。これでこの最も危険な道具は封印できたか。とりあえずだが。 …あと十分ほど時間があるな。 そう思った俺は、道具ガイド(第二話にてもしもボックスで出したアレ。勝手に命名。)で便利そうな道具を探す。 …コピーロボット!?パーマンに出てきたアレか? こんなのがあったのか……ってあれ?これってドラミちゃんの道具だったんじゃ…ま、いいか。 ガールフレンドカタログメーカー!? しまった、朝美について調べるとき、コレ使えば楽だったのに! 人間ラジコン!? 意識のある女子に無理矢理やらせることができるな。嫌がろうと悲鳴を上げようと体は俺の思うがまま…う~ん…涙でも浮かべてくれるとなおいい。 類似品の人間リモコンは確か…巻き戻しや早送りが出来たはず…お仕置きの時、浣腸して出させたり戻したりとか出来るな…いいな巻き戻し… さいみん機…それにさいみんグラス!? 誘拐時に便利だな。人目につくところからさらう時や自宅に同居人がいる女をさらう際、タンマウォッチよりもこちらの方がいいだろう。 狂音波発振式ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・白アリ退治機…便利だな。部屋に戻ったら早速使おう。 逆世界入りこみオイル…あったなあ、こんなの! 俺の城はコイツで作った鏡の世界に作ろうかな? まあ、今のかべ紙ひみつ基地には満足してるけど、監禁とか調教時は周りが無人の鏡の世界の方がいいだろうし。……俺の城…イイな。男の浪漫か? 人間あやつり機…なんだこのいかにも犯罪向きなネーミングは!? 着せかえカメラ…なんでこんな簡単な道具に気づかなかったんだろう! 監禁した女を辱めるときに使おう。 クローン培養基…これなら周りで誘拐とか騒がれる事なく調教が出来るわけか… でもなあ…クローンを襲うのもなあ…本物のほうがいいし…クローンを本物の変わりに添えても長くは経たずしてボロが出そうな気がするし… 時門を改造して特定の部屋でのみ時間の流れが遅くなるようにするか!! そうすればクローンがばれる前に調教が終了するはずだ! マテ!その場合はコピーロボットのほうがいいぞ! アクト・レコーダー…よし、十回ぐらい連続でイかせてみよう。 プシュ~~~ そうこうしているうちにタマゴの処理が終了した。 中から一糸まとわぬ朝美が眠りから目を覚まし、恥ずかしそうに出てきた。 朝美「…恥ずかしいです…あんまりみないでください…」 とは言うものの、手で肝心な部分を隠そうともしない。いや、隠そうとは思っているようだが、手を背中に組んで、止めている。命令すれば隠す、という事か? 「朝美、お前は何者だ?」 俺は聞いた。 朝美「はい…朝美は…あなたのものです。変態です。」 顔を赤くし、はっきりと言う。 俺は薄ら笑いを浮かべた。 俺の言う事に従う。とはいえ、恥を忘れきったわけではない。これほど具合のいい奴隷になるとは… いや…奴隷など生ぬるい。よし… と、次の台詞を言おうとした俺の足元に朝美はひざまずき、俺に尻を向けた。 朝美「お願いがあります。この変態めのお尻の穴を…貫いていただけませんか?」 さっきの『ヤメラレン』の効果が出たようだ。 よし… 「ほう…何で、だね?」 俺が意地悪に聞く。すると… 朝美「え、と…あの…」 「何だ?」 朝美は俺の顔をちらちら見ながら、 朝美「あの…あなた様のことを…どう呼べばいいん…ですか…?」 と聞いてきた。……そんなことも解らないか… フーッ… 俺はため息をつき…パーン!と朝美の太ももを叩き、言った。 「バカか、お前は!? お前のような奴隷女が俺をどう呼ぶかなど、一つしかないだろう!!」 朝美「ああ、ごめんなさい! どうかこの奴隷女にお名前をお教えください!」 「いいだろう、教えてやる!だがな、ここでは知る必要もないんだよ!奴隷は主人の事をご主人様と呼んでればいいんだ!わかったか、この馬鹿奴隷が!」 朝美「も、申し訳ありません、ご主人様!」 「いや、奴隷なんて生ぬるいな。お前なんか俺のペットで十分だ。 そうだ、お前は俺の犬だ!!」 朝美「い、犬…!」 「そうだよ、テメェみたいな馬鹿はそれくらいがいい。さあ、コレをつけな!」 言うと俺は尻尾の飾りがついたアナル用バイブと犬耳カチューシャ、そして金属性の首輪を取り出す。……スゴイぞ、『ほんもの図鑑 大人の玩具編』。 朝美「ハッ…ハッ…アハッ…」 朝美はいそいそと耳と首輪をつけ、尻尾をアナルに入れる。そしてそのままバイブでケツの穴をほじくりはじめる。 パーン! 俺は朝美の尻を叩いた。 朝美「ひあっ!」 「誰が勝手にいじっていいと言った! さあ、来い!」 俺は気づいてなかったが、朝美はこの時、あべこべクリームがまだ効いていた。にもかかわらず、この時『痛い』という声を上げていたのだ! 俺は首輪にチェーンをつけ、朝美を引っ張る。朝美は四つんばいになってついてくる。 「さあ、ここに入れ。」 俺が指差す先には、ネームプレートに「あさみ」と書かれた『かべ紙犬小屋』があった。 朝美「はいっ、ご主人様。」 朝美は嬉しそうに犬小屋に入り、犬のように入り口から顔を出した。 「もっと嬉しそうな顔をしな。」 朝美「はいっ!」 朝美は俺の期待にこたえた。そして俺は朝美の写真を取る。 パシャッ… 「朝美、来い。」 朝美は犬のように足元に擦り寄ってきた。俺は朝美から首輪と耳と尻尾を外す。 「さあ、もうすぐ入浴時間が終わってしまうぞ。早く部屋に戻って風呂に入って来い。」 朝美「え…そんな、朝美のお尻の穴はかわいがっていただけないのですか?」 「勝手にいじるような悪い奴隷にはお仕置きが必要だろう? 風呂が終わるまでお預けだ。」 朝美「はい…わかりました。」 俺はがっかりしている朝美に服を渡し、さっさと帰らせた。傷を見られてそれを言及されるような事があれば『忘れろ草』の出番だ。 …ま、帰って来る頃には頭が冷えて反抗的に戻ってるかな? それでこそいじめがいがあるんだが。 「あ、そうだ!」 俺は朝美を呼び止めた。 朝美「な、何ですか!?」 期待を込めた目で振り向く朝美。 「朝美、下着を脱いでスカートをたくし上げろ。」 朝美「はい。」 俺は朝美のクリを引き出すと、その根元を糸で縛る。血が止まって腐ると困るから、多少ゆるめに。 「いいか、絶対に取るなよ。」 朝美「え…こんな…」 「ぜ・っ・た・い・に取るなよ!」 朝美「は、はい…でも、浴室で見られたら…」 「この時間ならそうはいないんじゃないのか? ま、ばれないようするこった。」 俺は時間を止め、朝美を部屋に戻した。 さて、風呂が終わったらまたいたぶって…いや、気持ちいい目にあわせてやるか。どうせ汚れるのに風呂に入れるなって言われそうだな…(誰に!?) 無論、朝美が風呂にいる間、あっちこっちテレビで観察してる。 あ、浣腸大量に注ぎ込んでこぼさないで帰って来いと言えばよかった。 九時ごろ… 朝美が風呂から上がり部屋に戻ると、俺は時間を止めて朝美を迎えにいく。もう手馴れたものだ。 今回は趣向を変えてスーパー手袋でかついで行く。つーかこっちの方が楽だ。 あ、忘れないうちに耳の中の『糸なし糸電話』を取り出しておこう。『スパイ衛星』を使えば一日は見張れるし。 次はパジャマのズボンだけ脱がす。『着せ替えカメラ』で裸に剥こうかと思ったが、あっさり行き過ぎてつまらないからやめた。時と場合によるな、コレ。 あ、今の状態を写真にとって、その写真に細工して、改造した着せ替えカメラ使えば面白いことになるな。 そして、今、朝美が穿いているパンツを脱がし、さらに風呂上りをさらってきたので朝美が持っていた、さっきまではいてたパンツを取り上げる。 そして時間を動かす。 朝美「…あっ!」 「やあ。」 朝美は顔を赤くして俺を見る。 朝美「…」 「…オイ」 朝美「…こ…こんばんわ…」 こんばんわ…か……時間がたったせいか反抗的だな…ん?ああ、脱がしたせいか。下半身を手で押さえてもじもじしてるし… 「押さえるな。」 朝美「え?」 「押さえるな、と言ったんだ。手は…そうだな、背中につけろ。」 朝美「は…はい…」 朝美は手を背中につける。さて、じゃあ行くか… 「朝美。ケツをこっちに向けろ。」 朝美「はい。」 朝美は嬉しそうにケツを俺の方へ向け、ケツにかかる上着を上げた。 そして俺、鬼畜モード発動。 「ヘ、喜びやがって。お、もう股間ぬらしてんのか?」 朝美「はい、ご主人様にお尻をいじって欲しくて、待ちきれないんです。」 「尻?どこかな?ここかな?それともここかな?」 俺は朝美の臀部を触ったりもんだりする。 朝美「ああん、意地悪しないでください…」 「じゃあはっきり言えよ。俺にケツのどこをいじって欲しいのかをよ!」 朝美「ああ、ごめんなさい。お…お尻の穴です。お尻の穴をいじって欲しいんですぅぅ!」 俺は朝美の肛門に指を突っ込んだ! 「ココを尻と言うな。ココは『ケツの穴』と言え!!」 朝美「はい、ご主人様! 朝美のケツの穴いじってくださいぃ!!」 「いじるだけでいいのかぁ!?」 朝美「ああ、激しくしてください! この変態の雌犬めのケツの穴をご主人様のものでほじくりまわしてくださいぃぃぃぃぃ!!!」 くっくっく…これならこいつに『アワセール』はいらねぇな。朝美みたいな奴が以外とマゾっ気があるって話、本当だったのか。 俺は指を激しく動かす! 「オラオラオラオラ!!」 朝美「あっ!あっ!あっ!あっ!」 俺は『かたづけラッカー』で隠した『天才キャップ』を使い、朝美の感じるところを探す。 …俺好みの体に『改造』してやる。…『コジツケール』を使えばもっとやりやすかったか? 朝美「ああっ! ご…ご主人様ぁ!」 「何だ?」 朝美「ゆ…指じゃ…嫌…」 「んん?嫌?辞めて欲しいのかい?」 俺は指の動きをピタリと止める。 朝美「ああ…違う…違うんです…その……」 俺は指を少しずつ抜いていく。 朝美「ああ…ご主人様ぁ…」 …このぐらいにしておくか。要求を全部吐かせるより、ある程度余裕を残して、後日それを利用して揚げ足を取ればいい。 俺は指を抜き、ビンビンにいきり立っているモノを朝美のケツの穴に合わせる。 「オラッ!」 ズッ! 朝美「あ~~~っ!!」 軽くイったようだ。俺はさらに責める。天才キャップもつけてるからその凶悪さは前回の比ではない。…いつかデラックスライトも併用しよう。 朝美「あっ!あんっ!…っあぁ~~~っ!!」 またイったか。さすがは天才キャップ。……すごいのは俺じゃなくて道具なのね、くすん。 朝美「あ~~~っ、またイくっ! イっちゃう~~~っ!!」 「うっ!俺もそろそろ…」 朝美「うああぁ~~~~~っ!」 俺は朝美を抱え、部屋の真ん中に置き、ビデオカメラをセットする。 朝美の意識がはっきりしてきたあたりで朝美を縛り上げる。 縛り上げると入っても、改造した『着せ替えカメラ』を使って『縄を着せた状態』にしただけなのだが。 朝美「な…なに…」 「朝美、君は浣腸は好きかな?」 朝美「はい、私は変態なので浣腸が大好きです。」 「そうか。」 俺は2リットルは入っている浣腸器を朝美のアナルに押し当てた。 朝美「あぁ…ご主人様ぁ…」 朝美はとろんとした目で浣腸が減る様子を見守っている。 やがて、全て朝美の中に入る。 …ゴロ…ゴロゴロ… 朝美「あぁ…きてます…朝美のおなかゴロゴロなってますぅ…」 「そうか。まだ漏らすなよ、と。」 チューッ… 俺は再び浣腸器に液体を吸い上げる。 朝美「え…?」 「え、じゃない。さっきはもっと入っただろう? 今回はこの程度で許してやると言ってるんだ。」 俺はさらに0.5リットルを朝美の中に流し込む。そして… 「これでよし、と。」 朝美「え…?」 なんと朝美が俺にはかされたのはオムツだった。一応その下にタライも置く。きっと朝美の脳裏には最初に帰してやったときの俺の言葉がよぎっているだろう。 『監禁して毎日浣腸つっこんでオムツはかせて無理矢理漏らさせるからな!! そんで漏らしてないときは屁をこき続ける変態にしてやる!!』 朝美「あ…ああ…」 朝美はガタガタ震えだした。 朝美「ご…ごしゅ…じん…さま…」 「なんだ? …と、今日はこの台詞を連呼してる気がするな…」 朝美「あ…あたし…逃げようとしてない…です…よ?」 「は?」 朝美「あ、あたし、ちゃんと部屋に帰ってきたよ。なのに、なんで…」 ああ、そういうことか。馬鹿め。 「安心しろ、ちゃんと帰してやるし、常時屁こきの変態にもしない。」 朝美「じゃ、じゃあ、なんで…」 「馬鹿かおまえは? 雌犬をどう扱おうが主人であるこの俺の勝手だろうが!!」 朝美「あっ…!」 「それにお前、言葉遣いが少し元に戻ってるぞ? まだ俺の物だという自覚がないのか?」 もう一回『刷り込みたまご』にかけるか?まあ、俺が楽しむ分には全く支障はないんだが…きび団子の効果もあって。 朝美「ああ…ごめんなさい…ご主人様ぁ…」 「さて、どうしようかな? 言うことを効かない馬鹿な犬は殺すかな? いや、かわいそうだから捨てるか? 売るルートも知らないし、運がよければホームレス達に拾ってもらえるかもしれないな。」 朝美「ああ、ご主人様ごめんなさいっ! どうか捨てないでくださいっ! 何でもしますからぁ!!お願いします…お願いしますぅぅ!! 捨てないでっ! お願いしますぅぅぅ…」 お、予想以上の反応だな。このぐらいにしといてやるか。 「よし、じゃあこのまま糞を漏らせ。」 朝美「はいっ…朝美の恥ずかしい姿をご覧くださいぃぃぃぃ!!」 ブババババババババババ!ブリュリュリュリュリュリュッ!!ブリブリブリブリーーーーーッ!! 大量の茶色い液体が朝美のオムツの脇から噴き出してくる。それは尻の下にあった小さなタライなどすぐに満たし、流れ出す。 「おお、ひでぇ臭いだな、朝美。糞がオムツからはみ出しまくってるぞ。しかもタライからもはみ出してる。お前はトイレもろくに出来ないのか?」 朝美「はひぃ…朝美は馬鹿で変態な雌犬なのでろくにトイレもできないんですぅ…ああ…ご主人さまぁ、どうかこの馬鹿で駄目な雌犬を捨てないでください、お願いしますぅぅ…」 「ははは、全くダメな犬だな。いいぞ、飼ってやるよ。よし、ロープを解いてやろう。」 朝美「ああ…ありがとうございます、ご主人さまぁ…」 ロープを解き、オムツを外すと、朝美は四つんばいになり、俺の脚に身をすり寄せてきた。 「こら、まずは床をキレイにしろ。」 俺はトイレットパーパーを大量に取り出すと、朝美に渡した。 二人して床を拭くのは、なんとも地味で臭かった。 しばらくして。掃除が終わった。拭いた紙とオムツは『どこでも窓』をどこかの焼却炉に繋げ、燃やした。 まだ臭いがするが、後の始末は『ハツメイカー』で後始末用の機械を作ればいいだろう。 「朝美、行くぞ。」 朝美「え、何処にですか?」 「だまってついて来い。」 俺は『かべがみハウス』に入り、朝美をその中の風呂場につれいていく。…漫画に出てくる旅館のように広い。 朝美「お風呂…?」 「そうだ。」 朝美「なんで…」 「そんなこともわからないのか? お前、そんな臭ぇまま部屋に戻りたいのか?」 朝美は「あっ!」と言い、申し訳なさそうに俺を見た。 朝美「ごめんなさいご主人様、気付かなくって…」 「オラ、そこに寝っころがれ。洗ってやるからよ。」 俺は固いブラシかなんかで洗ってやろうと思ったが、今の朝美がかわいく感じたので、普通に洗ってやることにした。 …普段厳しい奴にたまに優しくされると簡単に落ちると言うしな。 湯を汲み、朝美の体から汚物を洗い流す。少し頑固な汚れは、石鹸をつけた手で洗ってやる。 朝美「あ、汚いですよ…」 「大丈夫さ、これくらい。ほら、体をひっくり返せ。」 結局、やらしいことと言えば前後両方の穴に石鹸付きの指を突っ込んだり胸をもんだ程度で終わった。 俺は次に朝美の体を抱え、浴槽に入る。そして、俺の腰の上に下ろす。 ズニュ… 朝美「あんっ!」 俺のモノが朝美の秘部に突き刺さる。 「朝美、犬だったらこういうとき、どうするものだ?」 朝美「はい、尻尾を振ります。……ごめんなさい、今はつけてません。どうしたら…」 「ケツを振れよ。なるべく早く、大きくな。」 朝美「!!…は、はい!」 そして朝美は俺にしがみつき、尻を上下に降り始める。しがみつかれたまま溺れるといけない!と思い、『エラチューブ』を取り出そうとして、ふと気付く。 そーいや今の俺って四次元ポケット持ってないんだよなあ…『取り寄せバッグ』と何かを合成して防水加工して常時持ち歩けるようにしたほうがいいなぁ… う…気持ちよくなってきた… 朝美の顔を見ると、嬉しそうな顔で腰を振っている。 朝美「ああっ! 気持ちイイッ!! 気持ちイイですっ!」 「よし、イくぞっ!!」 朝美「あっ!ひああああぁーーーーーーーっ!!」 ……なんとか溺れるでもなく無事に済んだが、のぼせてしまった… ………………… 朝美「おやすみなさい、ご主人様。」 俺は朝美を部屋に帰した。帰る際、バイブと犬耳と犬尻尾付きアナルバイブとトランシーバーをお土産に持たせた。 さて、明日は日曜日。何をしようかな… 翌日、俺は筋肉痛になった。タイムふろしきを使って何とか治せました。 次話に進む 戻る 小説保管庫に戻る
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最高で最低の奴隷Ⅳ 歪みし忠節 序章(前編) 「以上で今回の集会を終了します。お集まりの方々、遠いところからご足労頂き誠にありがとうございました。なお、詳しい指示に関しては後日各々に連絡します」 扇状に広がった会議室のその中心で、一番若い虎の少女がその姿には似合わぬ厳かな口調でそう宣告したと同時に、開かれていた会議は幕を閉じた。 彼女こそ、大陸最大の国際複合企業体『白虎総合商社』の総帥にして創設者、ミリア・メーデルである。 突如として虎の国の産業界に現れた彼女は、豊富な資金と突出した技術力を用いてその業界に革命を起こし、信じられないスピードでその頂点についた麒麟児だ。 医療、食料、運輸、その他の様々な産業に革命を起こし、その他の功績も相まって王族を除けば最高位の公爵の位を与えられた大貴族でもある。 元は地方の弱小貴族の一門の小娘だった彼女は今や、国家財政を操れるほどの資産を持つ鉄の女ならぬ、金の女になっていた。 そうなるといろんな噂が立つ物で、実は猫の国のフローラの隠し子で虎ではなく猫だとか、現国王の隠し子だとか、ダンジョンで眠りについていた古代の虎だとか、女装趣味のマダラとか(根拠は胸のなさ)、悪魔と契約した魔女という噂すらある。 しかし、その真実を知る者は少ない。 この最高幹部会議に出席している、各部門の責任者達の中でも極僅かの者達しか知らないのだ。 そして、事情を知っている者達はミリアの背後に立つシルスに向けて、様々な種類の視線を送ってきている。 面白がるような視線や、同情的な視線に、呆れ返っている視線、その中で一番多いのは責めるような視線だ。 シルスの事をよく知っている人が見れば、彼の頬が僅かに引きつっているのを発見しただろう。 「では、私はこれで――――」 全ての元凶である少女には、シルスを越える圧力がかかっているだろうに、その姿は堂々とした物だった。 置いてあった資料を手に取ると、そのまま視線などどこ吹く風で悠然と部屋を退出していく。 シルスもすかさずその背後に付き従い会議室を後にした。 「次の予定は何かしら?」 「この後、ル・ガル王国の工場拡張について、議会の議員と会食して、その後猫の国の商会との業務提携及び契約更新だ」 何処か気怠げなミリアの声にシルスが真面目腐った声音で答えを返す。 しかし、一般市民の数十年単位の所得に匹敵するであろう美術品が、その配置にすらこだわり抜かれて置かれている廊下を歩く様は周りの美術品に全く負けないほど美しい。 対して、後について歩いている少年の方は人生に疲れたような表情をしていて、不景気極まりない。 「確か落ち物の研究にうちの技術を提供する代わりに、特許料を割り引いて貰うのよね。だけど強欲な猫と交渉するのは気が乗らないわ」 憂鬱そうにため息を吐くミリアに、シルスはこちらも億劫そうに肩をすくめた。 「仕方ないだろう。猫の国は大陸一富を持っているからな。うちも蔑ろには出来ないし、何よりも、猫の国にはもっと儲かって貰わないと困る」 「それは分かっているわ。この国が豊であるために猫の国にはもっと富んで貰わないといけない事もね」 宥めるようなシルスの口調に、ミリアは当然分かっているとばかりに頷く。 「……………そのうち休みを取るから、今は我慢してくれ」 「その約束が破られるのは何回目かしら?」 妥協案を提示したはずのシルスだが、そう言って半眼を向けられて言葉に詰まった。 「…………まあいいわ、その代わり今は付き合って貰うわよ」 ネズミを捕らえた悪戯猫のような表情で、ミリアはシルスを壁に押しつける。 「ここでやるのか?」 「別にいいじゃない。誰も居ないんだから―――」 ミリアの言葉通り、ここは彼女の部屋から会議室までの直通通路であるため他に人影は居ない。 「でもな―――」 「あら、じゃあ今すぐ私に休みをくれるのかしら―――」 果敢にも反論のために口を開くシルスだが、その言葉に沈黙を強いられる。 反論のないことを了承と受け取ったのか、ミリアがシルスの手を取って自分の豊満な胸に導く。 女性の柔らかさと温かさに触れて、再び口を開こうとしたシルスだが首に手を回されそのまま強引に唇を塞がれた。 体を押しつけられ、全身でその感触を堪能させられる。 胸と胸がぶつかり合い、ミリアの柔らかい胸が潰れて歪む。 唇の方はもはや息する必要はないとばかりに、熱烈に吸い付かれる。 あまり乗り気でないシルスの舌を、しかしミリアは強引に捕まえて自分の口の中に引き込む。 息継ぎは鼻息だけになり、息苦しさのためかそれとも興奮のためか二人の頬が赤く染まり始めた。 数十秒か、数分か――― やがて、二人の唇が離れた。 赤く染まった頬に潤んだ瞳で見上げてくるミリアに、シルスは大きく息を吐く。 覚悟を決めたとばかりにミリアの首筋に食らい付き歯を立てる。 「…………ん」 痛みのような快楽のような微妙な感触に眉を潜めるミリアに、シルスはそのまま唇を滑らせた。 首筋から鎖骨を通り、胸に到達した唇は、興奮に固くなった突起を捕らえる。 「あぅっ」 今度の刺激は少し強かったのか、呻きにも似た声が上がるがそれには間違いなく艶が含まれていた。 ミリアの体を抱き寄せて、今度は自分から手を背中に回す。 背中に付いているファスナーを下ろし肌を露出させ、片手の五指の腹を背中に這わせる。 胸に対する愛撫は背中側に対する愛撫とは正反対に激しい物だ。 片方の突起を口に含み、空いた片手でもう片方の胸を包み込み指がめり込むほど握りしめる。 「ん、あっ」 前後からの異なる種類の刺激に、ミリアの体温が上昇し、息が荒くなっていくのをシルスは感じた。 胸に置いていた手を腹に這わせて、そのまま下半身まで伸ばしていく。 その部分は下着の上からも分かるほど濡れており、下着の中に滑り込んだシルスの指は易々と膣内に受け入れられた。 「んっ」 入った瞬間、一瞬だけミリアの体が硬直するが、すぐに弛緩し代わりに首に回された手に力が籠もる。 二人の体がさらに密着し、互いの上昇した体温を確認できた。 そして胸から戻ってきたシルスの唇が、今度は逆にミリアの唇を塞ぐ。 ジュルリと下品な水音を立てながら、互いに相手の口の中に舌を差し入れ愛撫しあう。 その間、ミリアの中に迎え入れられた指はゆっくりとかき混ぜられ続けている。 「………なんだかんだ言ってやる気じゃない」 興奮に耳まで赤く染めた少女が言ったその囁きは、しかし時を経た淫魔のようなねっとりとした甘さを含んだ物だった。 ミリアは首に回していた腕の片方を解いて、シルスのベルトをはずし始め一度話した唇を再び合わせる。 シルスの方から送られてきた唾液を喉を動かし飲み込みながら、腕はズボンの中に潜り込んだ。 興奮し固くなったそこを引き出し、自らのスカートの中に導く。 「入れるからどけて」 息継ぎの合間の言葉にシルスは素直に手を引き抜き、ミリアのスカートを持ち上げる。 「ん………あ」 自らの手の導きで、興奮して固くなった物が入り口に触れた瞬間、それまでとは一段上の艶を含んだ声が上がった。 向きを合わせるため、ミリアの足が爪先立ちになり、相方のシルスの方の腰が下げられる。 もはや刹那の躊躇いすらなく、それはミリアの中に収まった。 「んっくぅっ」 自らのドレスを噛み締めて声を殺すミリアを、シルスは強引に抱え上げる。 「………………」 「………………」 今まで何度も繰り返してきた動作にもはや言葉は必要なく、ミリアがシルスの腰に足を絡めるのと同時に二人は動き出す。 「はあぁっ」 「くっ」 熱く湿った吐息を漏らしながらミリアの膣内はシルスを歓迎した。 蕩けそうな程の熱を持ったそこは、入ってきた物を緩やかに緩急をつけながら締め付け蠢き愛撫する。 「あはっ、分かるシルス? あたしの中で動いているのが―――」 楽しげに笑いながら、ミリアは腰を動かす。 そうすると、只でさえ蠢いている粘膜に擦られたまらない快感がシルスに押し寄せる。 「じゃあ、次に行くね」 さりげなく呟かれたその声に、しかしシルスの顔は盛大に引きつった。 「ちょ、待て早い―――」 「駄目、待たない」 慌てて制止するその声に、しかしミリアは情欲に染まった笑みを浮かべて拒否を示す。 次の瞬間、シルスの脳に快楽の電流が走る。 「つぁっ!?」 繋がっている部分が溶け崩れ、強引に繋がれた神経に快楽を直接たたき込まれる感覚にシルスは呻く。 「うふふ、シルスの気持ちよさが私にも伝わってくるわ」 神経が繋がっている以上、ミリアの方にも快楽が伝達されているはずだがシルスより耐性があるらしくまだまだ余裕だ。 「っ―――」 舌打ちと供に抱え上げていた片腕をはずし、ミリアの頭をつかんで強引に唇を合わせる。 イメージ的には舌が溶け崩れ相手の口内の粘膜に染み渡る感じを思い浮かべた。 そこからさらに、自分の感じている快楽を流し込むようにイメージする。 抱えている体がピクピクと痙攣するのを感じとり、そのまま強引なキスを続けた。 互いに相手の感覚が繋がり、ミリアの快感がシルスの快感になり、シルスの快感がミリアに伝わっていく。 単なる交わりとは違い、共有する感覚は単純に二倍ではなく二乗にもなり、二人は急速に高まっていく。 「………っ」 シルスが絶頂感を感じると同時に、ミリアの体も仰け反った。 そして次の瞬間、ミリアの胸元から生えた銀色の刃がシルスの胸を射抜いた。 「…………やったか?」 折り重なって倒れる二人のすぐ傍からその声は響いた。 純白の大理石の一点に、しかし黒いシミが滲み出る。 最初は一滴の雫を垂らした程度だったシミは、一秒後には人間大の大きさになっていた。 そして、そのシミは二次元に反逆するかのように盛り上がり、形を取っていく。 初めは頭、そして首、肩から腕と胴体と――― それに反比例するかのように、シミの大きさは小さくなっていく。 最後に形取られた足が壁から引き抜かれると同時に、シミは完全に消滅していた。 壁から出てきたのは黒いコートを纏った人影だった。 それに続くかのように、床や壁から次々と同じ格好の人影達が現れる。 その服装と登場のしかたから、少なくとも堂々と人前に出られるような立場の人間でないことがうかがい知れた。 「四局が新しく開発した毒薬を塗っていたんだ。即死だろう」 人影の一つが初めの声にそう答える。 顔から頭まで真っ黒な仮面で隠されており、その人物の表情を読み取ることは出来ない。 「しかし、片方は不滅の騎士だぞ。毒ごときで倒せる物なのか?」 「いや、脈は止まっているし、心臓も動いていない。完全に生体反応は消失している」 シルスの横に屈み脈を測っていた人影が、一番後の人影の意見を否定する。 「やはり只の噂か、それとも意図的に流された情報か―――メーデル公爵がとんでもない化け物を飼っているという噂は――」 「可能性としてはありえるな。だが、過去に私達と同じ者達の消息が消えたのも確かだ――それにしてはあっさりしすぎている」 彼らは俗に言う暗殺者だった。 つまり合法的に抹殺できない都合の悪い存在を、非合法的に抹殺する者達である。 そして目標は彼らの眼前で命の灯火を消していた。 これだけ見れば、その役目は果たされたことになり、ならばさっさと逃走することが定石であろう。 しかし、彼らは足を止めていた。 なぜなら、あまりにも容易く目標が達成できてしまったため、熟練の暗殺者である彼らとてすぐには行動に移れなかったのだ。 『ひょっとして、これは罠ではないか』 そのような疑念が彼らには生じていた。 人は自分の認識している情報に自信が持てなくなった時、それを確認し補完しようとする。 ましてや、些細な認識の違いが命運を別けるような場合はその傾向は顕著である。 故に彼らは手にかけた者達の前で眼前で議論し合う羽目になっていた。 目の前の死体は本当にターゲットの物なのか? 偽物であるとすれば、その目的は何なのか? 実は単なる偶然で、この思考自体が無意味なのか? もしくはそう思わせて、自分たちをここに足止めするのが目的なのか? 考えれば考えるほど選択肢が広がり、尚のこと思考が迷い始める。 凄まじい前評判が尚のこと彼らの疑心を深めた。 「おい待て、少しおかしいぞ」 「何だ?」 唐突に人影の1人が声を上げた。 「ミリア・メーデルはこんなに胸が大きくなかったはずだ」 当然ながら、彼らはターゲットの情報は細かな部分まで調べ上げている。 食べ物の好き嫌いから、過去の経歴まで調べ上げ、当然ながらその身体的特徴などはいの一番に調べられている。 そして当然ながら、ミリアの胸が貧しいという事は周知の事実であった。 「豊胸出術でもしたのか?」 「いや、そんな情報はなかった。そもそも部屋を出る時までは胸はなかった。魔法薬を摂取したんじゃないのか?」 「しかし、三日前からずっとそんな様子はなかったぞ。対象は魔法は使えないらしいしな」 「遅効性の新薬じゃないのか? エリス博士が新しく開発した。本人も胸がないらしいし」 何というか、暗殺したターゲットの横で、そのターゲットの胸の大きさについて真剣に論議する暗殺者達の姿と言うのはいろんな意味で台無しである。 「………影武者か?」 「それはあり得ないな。会議室からここまで入れ替わるすきなどなかったはずだ。だが、薬をわざわざ遅効性にする意味もない」 積み重なる疑問と疑念がさらに彼らの判断を迷わせる。 「…………ともかく一度帰投するぞ」 しかし、仮にも彼らはプロである。 迷ったのも僅か数十秒で、即座にそう決断した。 「あー、ちょっといいか、あんたら?」 ここ数日で聞き慣れた声に彼らは振り向いた。 その心に飛来したのは共通して驚愕だったのは仕方ないだろう。 そもそも、彼らがここに来たとき光化学的、魔法的に彼らを除けばターゲットの二人以外確認していなかったのだから――― そして現在進行形で、彼ら以外の誰もその感知範囲に入っていなかった。 だから、その、ここ数日までは聞き慣れなかった声も、仲間の物だと思って無造作にその方向を振り向いても責められる事ではないだろう。 ましてや、死体のはずのターゲットが立っていて、ガチャガチャとベルトを直していれば一瞬思考が停止しても何ら不自然な事ではないだろう。 「いや、こういう事言えた立場じゃないと思うんだが、手を出す時はもう少し考えてくれないか? やっている最中ばっかり襲ってくるから、わざわざ誘き出すのにこんな手間がかかる」 相手が油断している時に行う奇襲の方は、使い古された手と言えばそうだが成功率が高いのは間違いない。 つまりは、寝ているときや、だらけている時、その手の行為の最中、もしくは終わった直後に相手の集中力が途切れた瞬間――― 彼らはその時を待っていた。 だから、当然ターゲット達が誰も居ない廊下で情緒に耽り絶頂を迎えた瞬間に攻撃したのだ。 多少の抵抗は覚悟したが、しかし必ず勝てる自信があったからこそ彼らは行動に移ったのだ。 「と言うか、あのな、その二つ名は止めてくれ。毎回襲われるたびに気合い入れられて、心臓をさされたり、首を断ち切られたり、頭を潰されたり、爆風で吹き飛ばされたり、生き埋めにされたりすると神経が持たないしな。大陸中回って月一回はそんな目にあうし―――仕事は全然減らないし、休暇は全く取れないし―――訴えても誰も聞いてくれないしな。この前なんか、わざわざ猫の国から大陸の端まで言ったら、船に乗っている最中に爆薬を積んだクルーザーに激突されて、海上数十メートルから海に叩き付けられたし―――最近、胃薬の量がまた増えた―――」 愚痴になりかけた言葉を断ち切ったのは、当然ながら薙ぎ払われたナイフだった。 「っ、絶死の刃か」 身体を仰け反らしながらシルスはそう呟いた。 刃が体に触れた瞬間、瞬時に周辺の細胞を浸食、破壊して最後には全身の細胞を破壊する魔法をかけられた刃だ。 文字通り必殺の武器だが、刃を抜いてから数秒しか効果がない使い捨ての物で普通の戦闘で使える物ではない。 しかし、一対一の戦いや暗殺には打って付けの道具である。 触れられた瞬間、治癒する暇もなく全身を犯し命を奪う刃から身を守る方法は多くない。 完全に回避しきるか、触れられた瞬間にその部分を切除するか、もしくはそれこそ非常識な程の魔法抵抗力で無効化するかぐらいしか手はない。 だからシルスは刃と供に薙ぎ払われた腕を掴み取り、そこを支えに体制を整えると相手の鳩尾に手加減なしの蹴りを叩き込んだ。 いくらマダラと言えども、虎の一撃である。 急所に叩き込まれれば、いかに頑強な種族であってもしばらく行動不能になるはずだ。 手応えはあった。 まるで鉄板を叩いたかのような固い手応えが――― 「やっぱり効かないか―――」 普通の生命体なら十分効果を期待できたであろう攻撃に、しかし黒いコートの人影は全く痛痒を感じた様子もなくすぐに追撃してくる。 振り下ろされる刃を避けようとすれば、左右から他の人影がナイフを突き出し逃げ道を塞ぐ。 必然的に後に下がるしかなくなるが、全面にいた人影が即座に距離を詰めてくる。 シルスは真上に跳躍すると、そのまま回転し足裏で天井を蹴って右の壁に突っ込む。 再び回転し、壁を蹴ると眼前に見えるのは振り上げられる拳だった。 握り拳が直撃する寸前、しかしこちらからも相手の拳に向かって手を突き出した。 真っ正面から相手の拳を受ける事はせず、腕を弾いて拳の軌道を変えて同時にその反発力を利用して体制を整え綺麗に着地する。 真横を掠めた拳は勢い余って壁に激突して粉砕した。 大理石の一枚下は戦車砲の直撃にも耐えうる積層装甲が張り巡らせてあるのだが、叩き付けられた拳は大理石ごとそれを粉砕している。 たとえ虎と言えども、この威力のパンチを急所に食らったら即死である。 いや、腕や足に食らっただけでもその部分が千切れ飛んでしまうだろう。 着地した次の刹那、真横から突き出されたナイフを回避し、シルスは床すれすれを這うように疾駆する。 その背後にぴったりと人影達は張り付いてきた。 体を捻ると同時に相手を蹴り付け、その反動を利用して距離を取ろうとしたが逆に蹴り付けた足を掴まれてしまう。 足首を握り潰される寸前、ベルトに仕込んでおいた短剣を投擲し相手の顔を狙った。 正確に眼球と口を狙った刃は片腕で弾かれたが、一瞬力がゆるんだ瞬間に足首を抜き取ることには成功した。 「GARMか」 舌打ちと供に呟かれたその言葉に、さらに攻撃を使用とした人影達の動きが止まる。 「俺とミリアを狙ってきたって事は、『腐肉喰らい』の五局だな」 「……………なぜ知っている?」 戦闘中に暗殺対象に質問するなど暗殺者としては三流であるが、聞かずにはいられなかった。 GARM、 それは絹糸に縛られた瀕死の魔狼が産み落とした配下たる魔犬の名だ。 それが、生まれてしまった理由はひとえにイヌの国の貧しさと乏しさが原因だ。 イヌの国の広大な大地はしかしやせ細り、自国民の半分の腹を満たす事も叶わない。 また、他国に輸出できるような資源もほとんどない。 それでも猫のように落ち物の特許や、兎のように寒冷地帯でさえ自らの都合の良いように改造できる魔法でもあったらまだ違ったかもしれない。 だが、イヌにはそんな物がなかった。 他国に誇るべき産業がないイヌの国は、外貨を獲得する手段が乏しく大陸最大の軍事力を持つ大国でありながら、国力は貧弱なのだ。 食料の供給を他国に頼っている時点で、もはや命綱を他人に握られているのも同然なのである。 唯一イヌの国が大陸最大の鉱山を保有する真銀も、食料や医薬品の輸出を盾にされれば安く売るしかなく、そのためにいつまで経っても経済三流の国から脱却できない。 そして、その貧しさ乏しさが原因で他国に食い物にされ続けた。 富も資源も技術も、腹を満たす食料さえもないイヌの国は、他国から原料を輸入してそれを加工して輸出する中間貿易で身を立てている。 しかし、その加工技術に使う機械や魔法装置はその加工品の買い手である猫の国から馬鹿高い値段で買った物であり、その差を差し引けば利益は極僅かだ。 また、食料大国である虎の国では品質の悪い農作物を、通常の農作物と同じような値段でイヌの国に売りつけたりもしている。 今現在イヌの国の食糧事情を支えているのは間違いなく虎の国であり、立場の弱いイヌの国は例えそれが品質の悪い物であろうとも、こっちの言い値で買うしかないのだ。 この白虎総合総社も下請けの安価な労働力として大量のイヌの労働者を雇っているし、イヌの軍は最大手の取引先の一つだ。 弱みに付け込まれ、悪い物を高く買わされ、良い物を安く売らされ続ければ永遠に貧しいのは当然だ。 しかし、もっともイヌの国の重荷になっているのは数千年前に結ばれた『絹糸の盟約』だろう。 かつて世界に大戦を巻き起こしたイヌの国が、二度と同じ事を繰り返さぬようにと幾つもの国が連合を組んで結んだその盟約は未だに有効であり、もしもイヌが盟約を締結している国のどれか一つにでも宣戦布告をしよう物なら、自動的に盟約に参加している他の全ての国がイヌの国と敵対することになるその盟約は未だに有効なのだ。 そうなれば、いくら世界最大の軍事国家を誇るイヌだろうと敗北は必死である。 だからイヌの国は豊かな資源や土地を手に入れるための侵略戦争を仕掛けることも出来ないのだ。 これだけ聞くと、完全に手詰まりのように聞こえるが実際は違う。 絹糸が適用されるためには、誰が見ても明らかな侵略行為が必要なのだ。 逆に言えば、侵略行為がはっきりしない、もしくは公にならなければ出来ることは少なくない。 故に設立された闇の組織、存在は認識されてもそれを証明されることは出来ぬ魔犬達、 魔犬の数は全部で六匹、 工作二局――第一局ケルベロスと第二局オルトロス 自国の不利益になるべき施設人物を破壊抹消する暴犬達 情報二局――第三局ケルビムと第四局ショロトル 他国の情報を盗みかすめ取る貪欲な盗犬達 この四匹だけでも、もしも仮にその存在が公になれば、イヌ達は窮地に立たされることだろう。 しかし、残った二匹はさらに別格だ。 はじめの四匹を構成するのは、あくまで人間である。 だが、残り二匹は違う。 暗殺二局――五局ティンダロスと六局アヌビス 敵どころか味方の命すら喰らう凶悪なる狂犬達 彼らはその過酷な任務に耐えうるために、自らが人間であることさえ捨て去っている。 あらゆる外法と邪法を駆使してその肉体を全く別のものに変質させているのだ。 常識や倫理など彼らに通じない。 ベースはイヌだが、筋力、耐久力、魔力、各種毒物や魔法に対する耐性のそのどれもが既存の種族の基本能力値を大きく上回っている。 虎や狼ですら容易く葬る彼らの力はそれこそ人外の領域である。 だが、同時に彼らの存在はイヌの国にとっての最重要機密であり、もしも、その存在が公にされたならば窮地に立たされるどころか、滅ぼされても文句は言えない。 だからこその、暗殺者達の驚きなのだ。 自分達の存在を知っていることは、別段驚愕すべき事ではない。 いくら痕跡を抹消しようとも、完全に隠蔽することなど出来はしないのだ。 しかし、いくら何でも、自分達の所属する組織の名前知っている事などあり得ない。 構成員を除けばその忌み名は、ほんの一握りの者達しか知らないはずなのだ。 そして何より、自分達はその中でも特に特殊な部署なのだ。 仮に自分達が返り討ちに遭いその死体を調べられたとしても、そこから自分達の部署にたどり着くことはおろか、結びつけることすら出来ないだろう。 よほど内情に詳しくなければ―――― 「こっちにも、その手の機関はあってな。ついでに言うと凄腕の尋問係が居るんでね。色々と詳しいことは知っている。あんたらが、只のイヌじゃないことも―――いや、全六局の中でも特に異質な、腐肉貪る背徳者達、正式名称『対外高官長期監視工作班』って事もな」 「…………………」 人影の1人ではなくGARMの一員が無言シルスに突進する。 少なくとも眼前の虎の少年は、自分達にとって存在してならぬものと判断したのだろう。 手加減なしの一撃は虎の動体視力を持ってしても、反応できない物だった。 ナイフの絶死の刃先がシルスの胸に吸い込まれるように迫る。 ガチィンッ!! 「………っ!?」 「そっちも人間止めてるようだが、こっちもまともじゃないんでね」 防御回避不可能のはずの刃が、しかしシルスの五指にしっかり掴まれている。 「なぜ生きているっ!?」 触れた部分から細胞が壊死し、即座に死に至らしめる猛毒が宿っているというのにシルスは平然としている。 その事実がナイフを突き立てた暗殺者に叫ばせていた。 「生憎、大抵の毒には耐性があるんでな。そう簡単には死なないさ」 涼やかな音と供に、猛毒の刃はガラスのように握り潰される。 呆然とした様子のGARMの一員に振り上げられたシルスの拳が叩き付けられる。 一撃目の攻撃は防がれたはずなのに、二撃目の攻撃は相手の胴体を容易く貫通した。 「がぁっ―――」 絶息したような叫びと供に口から撒き散らされる血反吐だが、それが服に付く前にシルスはその場を離れている。 「どうでもいいが、いい加減加勢してくれないか? さすがにこの人数はつらいんだが―――」 「弱音を吐くのが早いね。どうせ死なないんだから、やって見たら?」 即座に取り囲まれたシルスが言葉を向けた相手は、未だに床に放置されたミリアの死体だった。 そしてその場に居たGARM局員の誰もが、返事が返るとは思っていなかった。 完全に生体反応が消失している肉体が、言葉を発することなどあり得ないのだから――― そしてその死体が何事もなかったように立ち上がれば、もはや現実の光景とは言えない。 さらに奇妙なことに、その口から出た声はミリアの声ではなかった。 男のような女のような、幼いような年老いたような、どんな声でもあるようで、どんな声でもないような声音である。 「死ななくても、死ぬほど痛いだろ」 「嫌なら痛覚を消せば良いんだよ。わざわざ受ける必要はない―――」 言葉の途中で走った刃がミリアの首と胴体を分離させる。 くるくると回転しながら宙を飛ぶ頭に一瞬遅れて、首の切断面から血液は噴水のように噴き出す。 「あーあ、君がモタモタしてるから死んじゃったじゃないか―――」 「死人がそんな風に口を利くとは思えないんだが―――」 ごろごろと床を転がりながら抗議する生首に半眼を向ける少年――― そんな会話をする二人の姿は本人達を殺しに来た暗殺者達にどう映ったことだろう。 少なくとも心落ち着く光景でないことは確かだ。 「落ち着け、これは幻術だっ!! 混乱すれば尚つけ込まれるぞっ!!」 「………俺もそう思いたいんだが、これは現実だ」 皆を落ち着けようとするその叫びに、シルスは多量の同情を込めた視線を向けながらそう忠告する。 「あんたらも運が悪い。よりにもよってあいつが休暇中の時にここに来るなんて、いつもなら、普通に死ねたのにな」 普段のミリアの周りには表向きだけでもこの地に駐屯している機巧軍は元より、直属の護衛団まで居る。 しかし、それだけでは完璧にはほど遠い。 真っ正面から向かってくる敵に対しては強いが、暗殺などの搦め手で来られると脆い物だ。 だから、裏の護衛として暗部が付いているし、仮にそれを突破したとしてもその後には、魔王たる奴隷が控えている。 だが、暗部もセリスも居ない時によりによって、ミリアの影武者を襲撃するとはあまりにも運が悪すぎて、逆に同情してしまう。 少なくとも、暗部やセリスにやられても情報を引き出されて死ぬだけで済む。 「何か僕より敵の方の心配をしているようなんだけど、気のせい?」 特に気分を害した様子もなく聞いてくる生首に、シルスは大きく嘆息した。 「気のせいじゃないな。と言うかお前が死ぬような状況になったら、俺の方が持たんと思うぞ」 「そうだね。あの魔族以外に、僕を滅ぼせる奴はそうはいないと思うけど―――まあいいや、さっさと終わらせよう」 そう呟いた生首がぴょんと跳ねた。 冗談でも何でもなく跳ねたのだ。 足も胴体すら存在しない身体は、しかしGARMの1人に向かって跳んだ。 それを見て悲鳴一つ上げずに、頭部を左右真っ二つにした手腕は見事と言っても過言ではない。 切断された頭蓋から血と脳漿が飛び散り、それが切断した相手に降りかかる。 しかし次の瞬間、血潮を受けた当の本人が苦しげに膝を付いた。 「あ、ぎ、げぇ、、あが、、があああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 まるで魂を削り取られるような痛切な絶叫が廊下の中に響く。 そして、その場に響く音はそれだけではない。 肉が千切れ骨が砕ける音が血潮を浴びた者の体から響く。 黒いコートが破け、その中からピンク色の肉と白い骨などがそこから飛び出してくる。 その場にいる誰も声を上げられない。 たとえ眼前で仲間がどれだけ凄惨に死んだとしても、冷静に任務を達成できるように訓練された暗殺者達でさえ、そのあまりの異常な事態に動きが止まっている。 やがて、絶叫が鳴りやみ肉体の蠢きが止まった。 「よし、再生完了」 そう呟いたのは今の今まで断末魔の悲鳴を上げていた人物に他ならなかった。 そしてその声は先ほどミリアの口から聞こえた物と同一である。 「………………終わったのか?」 「うん、もうこの体は完全に僕の物だよ」 気分の悪そうなシルスの問いにそう言いつつ、その人物は仮面を取った。 仮面の下から出てきたのは美しい顔だった。 この世の物とは思えぬ白髪は、それに反するかのような赤銅色の肌に良くさえる。 瞳の色は右目が瑠璃色で左目は銀色、顔の輪郭は何処か中性的な印象を抱かせ性別を判別するのは困難であった。 そして、その服装も変化していた。 黒かったはずのコートが、いつの間にかゆったりしたローブのように変化してその人物の体を包んでいる。 そしてその美しい人物は、尾や鱗を持たないヒトの姿をしていた。 しかし、美形と言っても何ら誇張はない顔は見る物に違和感を覚えさせる。 まるで、美しい顔のパーツを組み合わせて作り出したような不自然さが感じられるのだ。 「さてと、もう全部食べても良い?」 「……………好きにしろ」 「それじゃあ、好きにするよ」 瞬間的に白髪のヒトの足下から伸びた髪に反応できたのは四人だけだった。 残りの者達は伸びて薙がれた髪によって首を切断されて、さっきとは逆に自分達が血を吹き出すことになる。 その動きによってそれまで惚けていた残りの暗殺者達が再起動し、再び二人に襲いかかる。 右からナイフを突き出した暗殺者は、何の前触れもなく頭が吹き飛び絶命した。 左から超高電圧の球体を放とうとしていた相手は、こちらも何の前触れもなく高電圧球ごと上半身が消滅する。 さらに真ん中から拳を打ち込んできた者は、真っ正面から打ち込まれ返された拳によって腕が縦に裂かれ、そのまま肩口に到達し、その後胴体に潜り込んだ腕によって心臓を握り潰された。 最後に真ん中の背後からナイフを投擲した者は、投擲された刃物が縦に真っ二つにされたが仮面が切り裂かれるだけで済んだ。 「あらら、失敗したね。意外と勘がいいみたい」 戦闘態勢のGARを瞬殺しながら、そのヒトは特にどうと言うこともないように微笑む。 「―――お前達は一体何だ?」 「君と同じ化け物だよ。もっとも僕は、君らと違って生来の化け物だけどね」 おそらく無意識のうちに出た言葉だろう生き残ったGARMの一言に、ヒトは表情を変えないまま答えた。 「ああ、だけど君達の方が凄いかな。元の姿を捨てて、そんな風になれるならたいしたものだと思うよ」 切り裂かれた仮面は床に落ちてもはや顔を隠す役目を果たしていない。 「『腐肉貪る裏切り者達』、別の種族に完全に紛れ込むために、自分達の種族さえ捨てる覚悟は僕には分かんないけどね」 仮面の下から現れたのは、虎の男だった。 しかし、その中身はその姿と同一ではない。 この世界には多種多様な種族が存在するため、他国に対する密偵や間諜は、他の種族にとってはひどく難しい。 幾つかの例外はあるが種族単位で国家を形成しているため、国の中枢に他種族が入り込むのは困難である。 逆に言えば、姿さえ同じならばそれなりの手間暇をかけることでどうとでもなるということだ。 だから、誰かが考えた。 元のイヌの体から人格や記憶を抽出し、他種族の体にそれを移植できれば諜報活動がやりやすくなるはずだと―――― ノウハウはあった。 そもそも、GARM自体が複数の個体の魂を抽出し一つの個体に注入して作成すると言う時点で、魂の注入抽出は成功しているのだ。 後はそれを改良すればいい。 無論、山のような失敗とそれを上回る犠牲はあっただろうが、そこで躊躇するよう者ならば、最初からGARMなど作らないだろう。 そして何より副次的効果として、虎や狼をベースにした場合イヌをベースにするより遙かに強い個体を作ることが出来るのだ。 シルス達の目の前にいるのは、自分がイヌであることさえ捨ててしまい人外に成り果てた元人間であった。 「……………貴様らに何がわかる」 自分達が秘密にしている全てのことを見抜かれてGARMの生き残りは、絞り出すようにそう呟いた。 もはや、理解しているのだろう。 シルス達を倒すことも、ここから逃げることも叶わないということを――― だから、言葉を紡ぐ。 今まで感情を押し殺し、耐えてきた物を吐き出すかのように――― 「俺がこの体を自分で望んだと思うかっ!? 野良だった子供の俺は、あいつらに無理矢理体を弄くり回されたんだっ!!」 「…………………」 GARMの素体となるのはそのほとんどが『野良』と呼ばれる浮浪児や浮浪者達だ。 例え居なくなっても、騒ぎにならず国益に損失をもたらさない社会的弱者達である。 いくら犠牲にしても大した影響がないという理由で彼らは人体実験の材料にされる。 「そのあと、無理矢理この仕事につけられた」 彼らに選択権などありはしない。 弄くり回された肉体は定期的に処置を繰り返さなければ、すぐに破綻してしまうためどこにも逃げることが出来ないのだ。 「俺と同じことをされた奴らは、発狂したり体にがたがきたりして処分された。そうでなければ任務に失敗して死ぬかだ」 そもそもが、個体の容量を超えるだけの力を詰め込んでいるのだから、処置を繰り返してもいつか破綻すため、本当に天寿を全うできるような個体は稀だ。 結局彼らは、まともに死ぬことなど出来はしないのだ。 「お前らに俺達の気持ちが――――」 吐露された言葉はしかし最後まで続くことはなかった。 顎から上が頭部から引き千切られてしまえば、当然であろうが――― 「つまんないな。本当に」 引き千切った頭部を白髪のヒトは退屈そうに手で弄んだ。 「化け物なら化け物らしく、心も化け物になってしまえばいいのに、何を化け物らしくない事を言っているんだか――――」 白髪のヒトの口が耳まで裂けて、手中で弄んでいた頭部に喰らい付いた。 骨が砕け、肉が引き千切られる咀嚼音が廊下に響く。 「ひょっとして、共感とかした?」 口元から垂れ落ちる血を拭いながら、そのヒトは面白そうにシルスに視線を向けた。 「………………いや」 ヒトの言葉に、シルスは数瞬迷ったようだが結局否定した。 「あはは、それでこそ僕の半身だよ。君は立派な化け物だ。僕が保証するよ」 「全然うれしくないな」 とても楽しそうにヒトとは違い、シルスの方は嫌そうに嘆息する。 シルスの様子など欠片も気に掛けず、上機嫌にそう問いかける。 「さて、ここで問題です。僕はさっきの三人をどうやって片付けたでしょうか?」 シルスは嫌々ながらも答える。 「……………右のは只の衝撃波で、真ん中は重力制御……………左のは原子分解か?」 「残念、最後のは空間圧砕だよ。もうちょっと集中しないとね。今の君なら感知できたはずなんだけどな。ま、相手が相手だし、本気にはなれないかな」 ヒトの足下から伸びた影のような漆黒が床から浮き上がり、GARMの死体を包み込む。 「んー、今の所イヌには特に目立った動きはないね。いつも通りミリアの暗殺だよ」 そう言って白髪のヒトはシルスの腕に軽く触れた。 その瞬間シルスの思考に大量の情報が流れ込んでくる。 「…………………イヌの方は相変わらず物騒だな」 シルスが気持ち悪さを紛らわせるかのように額を揉む。 自分が得た以外の情報が外部から入ってくる感覚は、いつまで経っても慣れることがない。 「そりゃあそうさ、この領地のテクノロジーは言わば金の卵を産む鶏だよ。万年金穴のイヌには喉から手が出るほど欲しいものだろうね」 GARMの死体を飲み込んだ漆黒が縮小し、そのままヒトの影に吸い込まれていくと後には何も残らなかった。 「まあ、そのお陰でこっちもあっちの情報が分かりやすくて助かるよ。僕の食事にも困らないし、でもあっちの方もなかなか努力してるね。さっきの壁から出てきた能力、あれは三次元を減衰して二次元にしてるみたいだよ」 三次元上の物体から、次元を一つ取り除くと物体は立体ではなく平面になる。 高さという要素が排除され、縦と横の世界に置かれる物体は厚さが全くない。 そのため事実上、扉や窓の隙間は言うに及ばず、その気になれば壁の原子間の隙間から染み出すことも可能なのだ。 ほぼ全ての防壁や扉を無意味にしてしまうその能力は侵入術としては最上の物だろう。 しかし、この城の警備を突破した所で彼らのターゲットである当の本人は、現在休暇中でここには居ないのだ。 そして、その影武者である目の前のヒトに餌食にされる彼らは気の毒としか言いようがない。 只殺されるならともかく、化け物の内部で永遠に苦しみながら飼い殺されるのは想像を絶する地獄であろう。 そんなことを考えていると突然白髪のヒトが、シルスの腕に自分の腕を絡めて来た。 「何のつもりだ? 零(ぜろ)」 「勿論さっきの、続きだよ。今度は本当に誰も居ないしね。たっぷり出来るよ」 零と呼ばれた白髪のヒトは当然のようにそう言ったが、シルスの方はややたじろぎながら後ずさる。 「いやあの―――そのな、明日はヘビの方まで行かなくちゃいけないだろ。俺も疲れてるし―――」 ゆったりとした動作で、しかし渾身の力で絡められた腕を引き離そうとするがびくともしない。 「大丈夫だよ。体力なら無限だから―――」 「体力は無限でも、精神力は残り僅かなんだ。第一、昨日も散々相手してやっただろう」 両者とも笑顔だが、シルスの表情は盛大に引きつっている。 「昨日は昨日だよ。それとも、みんなに色々ばらして欲しいの?」 「…………せめてベットでさせてくれ」 伝家の宝刀である零の言葉に、哀愁漂う表情でシルスが返せたのはその一言だけだった。 「了解」 ご機嫌な零に引っ張られながら、死刑台に登る死刑囚のような足取りでその後を付いていく。 (一時間でも良いから、眠りたいな) おそらく叶わぬ願いと分かっていながらそう望まずにはいられない。 「そんな顔しないでよ。巨乳は嫌いじゃないでしょう」 「時と場合による。今は性欲より睡眠欲だ」 服越しにに感じる胸の感触にも、シルスは心底湯鬱そうな表情でそう嘆息する。 「うわ、何か男として色々終わりなこと言っている」 「男として終わっても良いから、ともかく休ませてくれ」 かなり深刻な発言に零が呆れを混ぜ込んだ苦笑を返す。 「そんなこと言わないでよ。ほら、少なくともミリアとは比べものにならないぐらいあるんだから」 「……………本人の前では絶対言うなよ」 少し前、ミリアの姿をした零がオリジナルとは違い豊満なその部分を指さして『三倍でやっと胸だね』などと発言して、セリスがそれに対し零の胸を掴んで『それは間違いだよ。例えこの三分の一でも、ご主人様の胸には大きすぎる』などと言ってしまったため、ミリアが逆上したのだ。 よりにもよって、10日ぐらい無理やり徹夜させて色々テンパっているミリアが、エリスの開発した新型銃器のお披露目を聞いている中で、そんなことを言ったため、その重火器がその場で使用されることになった。 何かが吹っ切れた清々しい笑顔で無言のまま引き金を引く幼なじみの姿は、ダンジョンの奥にいるガーディアンですら裸足で逃げ出しそうな物だった。 追記するならば、その背後でミリアと同じように全ての感情が抜け落ちたような表情で言葉一つなく黙々と銃弾を補給するエリスの姿も十分恐ろしかった。 この体になってからミリアの八つ当たりやら何やらも、苛烈になった気がする。 普通には死なない体とはいえ、痛みは通常通りあるので止めて欲しいのだが訴えたところで止むわけではない。 「何、まるで自分の人生に絶望して飛び降り自殺する寸前のような表情をして―――」 「そこまで俺のことを理解しているなら、少しは大人しくしてくれ。その自殺の原因の一部は間違いなくお前なんだ」 実に的を射た零の発言にシルスは乾いた笑みで応えるが、それに返されたのは無邪気な笑顔だ。 「大人しくするわけないじゃん」 「……………………そうだよな」 先ほどよりもさらに疲労の増した声でシルスは納得した。 予想していた答えだが、面と向かって言われると落胆も一押しである。 今頃自分の幼なじみは、悠々と休暇を満喫していることだろう。 それに比べて自分は、年中無休馬車馬のように働かされている。 (また、薬の量が増えそうだな) この体になってからも、なぜか完治することのなかった持病の胃炎は最近さらに酷くなっている。 そして、その原因の一端は間違いなく自分の隣にいるヒト――― 否、ヒトの姿をした化け物にあるのは間違いない。 (まあ、仕方ないか―――) 終わってしまったことを、いちいち悔やんでいてもしょうがない。 と言うか、いちいち悔やんでいたら彼の魂はとうの昔に摩耗している。 例えこの身が化け物に成り果てても、それは大した問題ではない。 今更ながら自分はどこかおかしいのだと思う。 すぐ近くに異世界の魔王が居ようとも、自分自身化け物になろうが何となく溜息一つで受け入れてしまうのは心が広いというより、神経の幾つかが切れているとしか思えない。 もっともそのおかげで、今の今までミリアの折檻やらその他諸々の物に耐えてこれたのだから幸運なのかもしれない。 「さあ、付いたよ」 「………………」 零の言葉にシルスは嘆息する。 そしていくら受け入れられても、疲労感は欠片も抜けていないことに軽く絶望した。
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第六回「私のこと、愛してますか?」 時報「どうも、時報です」 日暮「日暮です」 日暮「今回の質問は"MMSを取り巻く環境はどんな状態ですか?"」 時報「これは結構ややこしい問題ですねぇ…(MMS入門を開く)」 MMSを取り巻く環境は薄暗い。 欧米圏においてはフランシュタイン・コンプレックスが存在し、当初MMSの普及率は低かった。 しかし2031年に武装神姫が発売、翌年にバトルサービスを開始した事により爆発的にユーザーが増加した。 ただその裏では、リアルバトルの度合を超えた賭け対戦が日常的に行われており、大きな問題となっている(その年齢層は20~30代) また、違法品の中枢部取り外し用器具が流通しており、素体の"使い捨て"が頻繁に行われている。 それとは別に、近年増加するMMS犯罪に過敏に反応し排斥運動を行う過激派集団も増加傾向にある。 日本国内においてはそれほど表立った問題は発生していない。 しかし、家庭レベルでは大きな問題が多数発生している。 世代を完全無視した、「ある」層である。 人、それを主婦と呼ぶ。 かれこれ80年ぐらい前、かの「月光仮面」が打ち切りになったのは(色々要因があったものの)親からのブーイングが原因である。 「仮面ライダー(一作目)」も「ウルトラマン80」もその他数えきれない作品群に対し何かと難癖つけて文句を言うPTAも、この問題にかかわっている。 "無理解"、これほど怖いものはないだろう。 中高生の親の中には、MMSが「心を持つ小さなロボット」と言う事を知らず「人形」として捨ててしまう者もいる。 私事となってしまうが、著者の甥にも「親がわかってくれなくて、捨てられそうだ」と相談を受けそれを仲介した事がある。 一部の主婦層は「MMSが居る事で引きこもりが増える」と言う、根拠不明の理由で学校へ訴え出る者まで出ている。 各市町村役場の相談内容はこれらのものが多く、相談員を戸惑わせている。 ここ最近(2036年4月時点)増加傾向にあるリサイクル店舗による「里親探し」もMMS犯罪の温床となるケースがある。 またリセット(分解)なしで引き取るため、絶対的な"約束"である「登録をしたオーナーとMMSの関係は絶対」と言うMMSの根本的思考パターンにも反する。 日本ならではの問題として、「野良MMS」というものがある。 これはオーナーと死別したなどの理由で、一人身となってしまったMMSが野良化(正しくはストリートチルドレンと言った方が正しいか)してしまうものを指す。 普及率の都合で、武装神姫の割合が多い。 通常の生物と異なり電気でしか動く事のできないMMSは、そのまま放置されていればバッテリー切れで「眠りにつく」。 あとは、朽ち果てるかバラバラにされる(あるいは良心的な人間に拾われて第二の人生を歩むか) 場合によっては、武装を所持している事もあり、凶暴化していた場合は十分な脅威になりえる。 神姫NETはこれをイリーガルと同レベルの危険対象として、発見もしくは捕獲した場合は速やかに最寄りの神姫センターに届けるのを推奨している。 日暮「野良MMS…ですか。そのうち本編にでてくるかもしれませんね」 時報「たぶん、ね。それにしてはこの本の著者はホントにMMSを愛しているんだね」 日暮「ミリオンセラーになるのも分かります。今回はここまで、また次回お会いしましょう」 神姫無頼質問コーナーに戻る 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
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概要 マップ エラー・ボス情報小型エラー「α型エラー400」「β型エラー401」初級 上級 中型エラー「γ型エラー500」「δ型エラー501」初級 上級 オータムミラージュ初級 上級 バニーミラージュ初級 上級 サイフォスリペイントVer./剣崎(レイドボス)初級 上級 エンディング(?) 報酬参加ご褒美 アップデート履歴 コメント 概要 シーズン2到来!! シーズン2へのアップデートを楽しみにしているマイ神姫 しかしなかなかアップデートが来ない! またもやエラー予感!?アップデートの為殲滅せよ!! 期間限定(2023.2.16 10 00~2023.4.105.8 10 00)イベント。従前通り、エラーが敵となる。 今回はサイフォスに焦点が当てられており、オフラインでのスタンプつきストーリーに登場するNPC神姫には通常型(個体名:「神姫NET管理局ネットワーク課/ネットワーク担当」鎧原)および一部バトルのみ種村ジュビ子が登場。不足人数時に登場するのは前者となる。 そして、レイドボスには嘗て「バトルロンド」時代に登場したリペイントVer.の姿をした個体(個体名:謎の騎士型神姫→剣崎)が登場する。 今回からwave1~2の雑魚エラー配置が更に多様化。赤青どちらかしか出てこない時もあり、武器相性によっては簡単にあしらえたり、そうでなかったりする。 臨機応変な武器の切り替えを心掛けていきたいところ。 前回と同様、討伐タイムランキングはオフラインのみ開催となっている。 なお、特定の装備にエラーへの補正値(ダメージボーナスまたは耐性)がある様子。 今回は公開されなかったため、やむなく掲載自体を見送る。 マップ 第七回と同様、レイドボスバトル恒例の場所(神殿)。 時間帯は明るい昼間。 エラー・ボス情報 小型エラー「α型エラー400」「β型エラー401」 WAVE1およびWAVE3に出現。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.1? 遠距離攻撃 ? 0.25? 80? 三連射する 上級 ス 体 500? 5000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 300? 0.1? 遠距離攻撃 100? 0.25? 80? 三連射する 中型エラー「γ型エラー500」「δ型エラー501」 WAVE2とWAVE3に出現。また、稀にWAVE1にも出現する。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー ? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2と3で出現 上級 ス 体 500? 7500? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 500? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー 500? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2と3で出現 オータムミラージュ WAVE3に出現するレイドボス。基本的には第七回に登場した時と同様で、凶悪なドロップテーブルも相変わらず。 ただ、今回オンライン上級/スタンプ終了後のオフライン上級には登場しないので、従前に装備を掘れなかったマスターはオフライン初級でスタンプリセットを掛けながら戦い続けていれば、もしかしたら何とかなるかもしれない。 しかし、2023/04/10のアプデ以降出現しなくなった。 初級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 キャンドルロッド(槍) 赤オーラ時使用 キャンドルロッド(片手ライトガン) 青オーラ時使用。密着していれば当たらない 食欲の秋 アクティブスキル自身のLPを回復し攻撃力を上げる 上級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 バニーミラージュ 一定確率でWAVE3に出現。バニー服を纏って金色のミラージュ武装を背負い、トレーを構えた姿。 嘗てのナイトミラージュと同様、此方の一部デバフ系アクティブスキルを反射してくるので、こいつが出てきたらデバフ系アクティブスキルを使わないようにしたい。 特に「全員攻撃スピードダウン」は、後述の理由で悪手となるので絶対に使わないこと。 スキルはプレイヤー側全員の攻撃スピードを下げる「バニーリフレクション」。此方の「全員攻撃スピードダウン」を反射された後に使われでもしたら、それこそ目も当てられない事になる。というか、どこがどう「リフレクション」なんだか全く意味不明。 つまり、此方の装備するアクティブスキルの最適解は… 「防御力ダウン」「死出の旅路(要:死神の鎌)」 基本的に硬いレイドボスに対して効果的にダメージを通す上で欠かせない。 特に後者については、もはや言うまでもないド安定。数多のナーフを経てなお確実な一手である。 「攻撃スピードアップ」「ゴールデンエンジェル(要:ゴールデン装備)」「デスナイト(要:バルムンク[夜])」 基本的には使われた直後に、相殺する形で使う。 ただし此方の方が有効時間が短くなっている上、攻撃力の低い神姫では与ダメージが雀の涙な上ボスにスキルゲージを稼がれる等ひたすら苦行になってしまうので、使う時にはタイミングを考えるよう心掛けたい。 「攻撃力アップ」「花より団子(要:三色団子)」 どうせ攻撃スピードを減らされるのなら、その分一撃をより重くすればいいじゃない!というコンセプト。 アプローチ的には防御力ダウン系の方がより確実ではあるが、他プレイヤーが防御力ダウン系を掛けた後、合わせ技となった場合の爆発力はなかなか侮れない。 これをセットするなら、攻撃力のより高い神姫を選んでおきたいところだ。 初級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 バニーリフレクション アクティブスキル敵全員の攻撃スピードを下げる バニーリフレクション(裏?) アクティブスキル同名の別スキルが存在している様子。自分と攻撃スピード低下が掛かっていないプレイヤーの攻撃スピードを下げる。かつ自分の体力を約2割回復する。発動条件は不明。バニーリフレクションの効果中にスキル使用が条件? 上級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 サイフォスリペイントVer./剣崎(レイドボス) 一定確率でWAVE3に出現。サイフォスのリペイントタイプ。 攻撃力が非常に高い上スタン武器に対する耐性が高いため、どうしてもスタンを織り交ぜたい時はスキルで使うのがベター(ガードされる可能性もあるが)。 死神の鎌/防御力ダウンは相変わらず有効で、攻撃スピードダウンも刺さる(が、バニーミラージュ対策で外している人も多いかもしれない)。 アクティブスキル「サクレクール(闇)」はオリジナルと同じく突進技。どの方向に突進するかは発動前に浮き上がってくるくる回るのである程度分かるようになっているが、発動した際には「その周囲にも攻撃判定が発生」する。 この攻撃判定範囲の広さは正直オリジナルに比べて「最早インチキ臭い」というレベルで、充分に距離を取ったつもりでも喰らってしまっている事がある。 LPに余裕があればバーストでの回避、あるいは一定時間の無敵判定が発生するアクティブスキルを持っているならばそれを発動しての相殺を狙いたい所だが、どちらも難しい状況であるならば素直にガードしよう(ただし、ガードの上からでも削り倒される事もある)。 初級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 デファンス(槍斬撃武器) 赤オーラ時使用 ベック(片手ライトガン) 青オーラ時使用。スタン値が高いので注意 サクレクール(闇) アクティブスキル剣を構えてからの突進攻撃。元のもの(サクレクール)より移動距離が長い換装を兼ねているせいかベック、デファンスで殴る。そのためか攻撃範囲が広くなっている 上級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 + オフラインでの出現順は… オフラインでの出現順は、オータムミラージュ×2→バニーミラージュ→オータムミラージュ☆→剣崎→バニーミラージュ→オータムミラージュ→剣崎☆→バニーミラージュ→剣崎。 なお、☆のバトルではNPCが種村ジュビ子となる。 エンディング(?) + 「そうだ…バトコンやろう!」 悪神姫と化した剣崎さんは捕えられ、 神姫NET管理局に引き渡された。 剣崎さんが悪神姫になってしまったのは、 過去の闇神姫事件のせいなのか、 上司のせいなのかは誰にもわからない…。 ともかくこれで、いよいよバトコンシーズン2が開始されるだろう。 新神姫の追加も楽しみだが、願わくはエラーがなくなり、 動作もより軽くなればよい…と思う(プレイヤー名)であった。 シーズン2の未来のために、今何ができるのか 「そうだ…バトコンやろう!…そしてダンスでも眺めよう。」 オフラインレイドバトルでスタンプを集め切った時に流される、エンディングめいたムービー(※終わりません!これからもバトコンをよろしくね!) 各バトルモードでの戦績に加えて、これまでの使用神姫や武装などプレー記録が表示されて行く。 + 平行して表示される画像は… 平行して表示される画像は、「鎧原との出会い」→「バニーミラージュ」→「剣崎(ボス)」→「参戦神姫(1人ずつ。背景はピンク/黄/水色の順)」→「参戦神姫3人の並び」→「剣崎と鎧原」。 今回も、オフラインの進展をリセットする事ができる。 報酬 参加ご褒美 オンライン及び店内バトルの参加報酬として、初級は【Rネジ】×10個、上級は【Rネジ】×15個を獲得できる(オフラインでは各-5個) また今回から、入手できるコンテナは20+レイドボス武装1個に固定された。剣崎はもとよりミラージュ達からドロップする武装も相変わらず多彩なため、全部集めるのはやはり苦行となる。 更に、今回からは小エラー中エラーを撃破する事で、一定の確率でご褒美(ヂェリカン)が貰えるようになった。これはwave1~3までの雑魚撃破数と運次第。そう、wave3の雑魚掃討にもご褒美が出るようになったのだ。 なお貰える上限はなく、レアリティもN・R・SR・URでまちまち。 アップデート履歴 日時:2023.4.10 内容:2023.5.8 10 00までに延長。これに伴いオータムミラージュが出現しなくなった 日時:2023.2.16 内容:期間限定イベントとして実装 コメント 名前 コメント